2歳の息子が最近「にゃー」と呼んでいるお気に入りの白猫のぬいぐるみがあります。

食事も就寝も通園もずっと「にゃー」を抱きかかえて、どこに行くのも一緒です。「にゃー」が一緒なら嫌いな野菜も食べるし、登園前の支度も頑張れます。普段なら場所や人に慣れるまで私の足にすがりついて出てこないでいる公園や児童館にも「にゃー」とならすんなりと入っていきます。(一度、息子が就寝後に散らばったオモチャを片付けていて、ベッドの横に落ちていた「にゃー」を誤って片付けてしまった時は夜中に「にゃー、ない!ない!」と酷く泣いてしまい、落ち着くまでにかなり時間がかかりました。)

どこに行くのも何をするのも「にゃー」のふわふわの毛並みを撫でたり、抱きしめたりすると親元を離れていても安心して行動できる様子が伺えました。

心理学の中で移行対象というものがあります。

生まれたての赤ちゃんの世界は自分と養育者だけの世界で、しかも自分と養育者は一体のものだと錯覚しています。でも、成長していくにつれて、「養育者と自分はどうも違う生き物のようだ」とか「世界は養育者と一体になっている自分だけのものではないかもしれない」といろんなことに気が付いていきます。

それらに気が付いていくことはとても苦痛な体験で、今まで一緒だと思っていた養育者から切り離されて知らないところに取り残されてしまう恐怖や不安を伴うといわれています。

そこで役に立つのが移行対象で、これを持っていることで養育者が見えなくてもそばにいるような安心を感じながら外の世界に出られるようになります。

そのうち、移行対象がなくても養育者をこころの中で再現できるようになり、自分ひとりで「世界は安心できるものである」と自由に活動することができます。

これを思うと、恋愛で恋人同士がお互いにお揃いのものを身に着けたり、贈りあったりするのも相手を自分のこころに住まわせて安心できるようにするための移行対象のようにも思います。

休職中はどこか社会から切り離されて寂しさや不安を感じることが多くなるかもしれません。人との繋がりが途切れたり、薄れてしまったりする恐怖もあるかもしれません。

そんな時は自分のこころに誰が住んでいて欲しいか考えて、その人が贈ってくれたものを持ったり、してくれた行動や言葉を思い返したりしてお守りにするのも一つの対処法かもしれませんね。