まだ暑さは残りますが、ようやく秋の気配が感じられるようになりました。      

秋といえば皆さんそれぞれ、夏とは違った楽しみや、癒やしが想い浮かぶのではいかと思います。我が家はどうも食欲の秋に傾きがちなようで・・・。

 先日、「グレーテルのかまど」というお菓子作りの番組で、なんとも宝石のように美しいフルーツサンドを特集していました。その美しさに、珍しく子どもも手作りしたい気持ちに掻き立てられたらしく、早速果物とクリームを買い込みました。見たとおりに再現し、美しいフルーツサンドができ、私も子どもも大満足。ところが、せっかくできたフルーツサンドですが、出された瞬間は皆とても楽しい気持ちになるのですが、食べ始めるとボリュームが多すぎて2〜3口でお腹いっぱいになり、無残にも途中で食べ残されてしまっていました。

 普段ならその残骸を見て、せっかく作ったのに・・・と何か恨み言を言ってしまいそうなのですが、作った本人が満足そうにご機嫌でいるのを見ると、なぜかそんな気持ちもすっと消えてしまいました。そんな様子を見ていると、作ったことで心が満たされ、いろいろな事はどうでもよいのだなと感じました。  私も、いつになく既のところで余計なことを言って、皆の心の満足を帳消しにしなくて済んだのは、私自身フルーツサンドを作ることで十分楽しみを得られていたからなのかな〜と感じました。私の感覚ではどうしても、フードロスや食べ物を残してしまう罪悪感が起きてしまうのですが、正しいことに囚われ過ぎて皆の楽しんでいる気持ちを潰さなくてよかったと思えた瞬間でした。

 ふと、以前に料理家の土井勝さんがおにぎりの特集をしていた時に、米を丹念に洗うことで、美味しいおにぎりが出来ると伝えた時、アシスタントの方がお米の栄養が取れてしまいませんか?とたずね、土居さんが、今の時代お米で栄養を摂らなければならない時代ではないので、そこにこだわらずに美味しいことを追求してもいいんじゃない?とやりとりしていたのを思い出し、時代や、その環境が変化してきた多様化の求められる現在、何が今ここにいる自分と相手にとって大切にできるとよいのか・・・自由度が広い分、柔らかい頭が必要だなと感じました。それは楽しくもあり、難しくもあるものだなあと感じた秋の一時でした。皆さんもいろいろ秋を味わって見て下さい。