リワークプログラムCREESSのメンバーにとって、今年は復職の年となるでしょう。
気持ちもあらたに、リワークのメンバーとスタッフとともに、復職への道を一歩一歩進んでいきましょう。
休職中にリワークして復職を目指す意義のひとつに、「再発予防ができるようになる。」という意義があります。
特に、休職を複数回繰り返しているメンバーは、再発予防の難しさを実感しているでしょう。休職を繰り返しているメンバーは、再発の経験者だからです。
リワークを経験しないで復職する場合と、リワークを経験した上で復職した場合とは、何がどう違うのか。
この問いに答えてもらいたい人たちがいます。
それは、休職を繰り返した上でリワークに参加して、復職を果たしたメンバーです。さらに、「これまでの復職のときと比べて、今回リワークを使って復職した自分は、以前と違っている。」と、実感を伴なって言えるメンバーです。
リワークに参加すると、リワークのプログラムによって、今まで知らなかったようなコミュニケーションの方法論を学ぶことができます。
ストレスにどう対処したらいいかを学ぶことができます。
リワークに参加することで、新しい知識を得ることができます。
そして、再発予防にとって本質的なのは、リワークの中での他者との経験です。
休職をしてしまう人は、苦境に陥っています。上手くいかなくなっています。不都合な事態が生じています。
そのとき、この人が採用する方法は、そういう不都合な自分を人の目から隠しておくという方法です。
この方法は、職場に行かない、という行動として実現します。
休職です。
「職場に行けない。」というよりも、「職場に行かない。」という言い方のほうが、求職者の隠された意図を正しく表現しているかもしれません。
そういう人がリワークに参加しています。
このメンバーが、リワークに参加することで再発予防ができるように変化しているとは、どういうことなのか。
それは、「これまでは不都合で隠しておくしかなかった自分の姿を、リワークでは他人に知ってもらえるようになった。」という変化でしょう。
自分を自分だけの世界に閉じ込めていた人が、そこに他者が入ってくることを許せるようになった、という変化です。
スタッフと他のメンバーに、その人が職場では隠しておかなければならなかった自分の姿を、知ってもらえるようになった、という変化です。
以上のように考えると、やはり、リワークの経験が再発予防に役立つためには、ただ漫然とリワークに参加したというので足りません。
リワークに参加している間に、職場に行けなくなったときと同じくらいの苦しい経験を再体験したかどうかが、鍵を握ります。
つまり、隠しておかなくてはいけなくなる自分の姿が、リワークでも登場してきたか、ということです。
職場にいるときは、そういう自分は隠しておかなければなりませんでした。
休職です。
しかし、リワークでは、隠しておくしかない自分の姿を、自分以外の人であるスタッフと他のメンバーの前に見せられるようになった。
隠しておきたい自分は、その人が自分の力だけでは解決できないような、困った自分自身です。
そういう困った自分自身を、リワークでは他人に知ってもらって、一緒に考えてもらえるようになる。
リワークでは、困った自分自身を他人の力を借りて乗り越えることが出来た、という実績が出来ました。
この実績は、再発予防に向けた根拠のある自信になるでしょう。
リワークでは、不都合な自分の姿を自分にも他人にも知ってもらえたのです。
このようにして、休職に類した苦境を乗り越えた、というリワークでの実績は、そのメンバーにとって、新しい経験なのです。今までは、無自覚にただ繰り返していた集団の不適応という経験が、リワークで書き換えられて変化した、といえるでしょう。新しい経験が付け加わっているかが、再発予防の何よりも大きな自信になるでしょう。
こういうメンバーは、リワークを卒業後も、アフターリワークに参加したりすることで、復職後も治療的な関わりを継続する自分になっているでしょう。