今回は、1〜2月の2ヶ月間のグループ作業で取り組んで完成させた、
ワクワク♪リワーク通信 2015年春号
をご紹介します。
リワーク通信の発行も、今回で通算第8号となりました。
リワーク通信とは、復職を目指して日々リワークに通うCRESSのメンバーが、リワークで何を学び、体験しているか、メンバー自身の声で伝えるものです。
来るべき復職に向け、この休職期間をリワークで過ごし、日々悩みながらも真摯にプログラムに取り組んでいるリワークメンバーからの発信を、どうぞご覧下さい。
今回のリワーク通信も、前号に引き続き、冊子形式でボリュームのある作品となりました。
リワーク通信を通じて、メンバーがCRESSでどういう一日を過ごしているのかを、具体的に伝えることができないか、みんなで考えました。
そこで考案されたのが、架空のメンバー「暮須なごみ」(暮須は、クレス CRESSと読んで下さい)を主人公としたマンガ「暮須なごみさんの一日」です。
このマンガを作るにあたって、たくさんの写真を撮影しました。
朝、リワークルームに入ってくるところの撮影から始まって、朝の会や、それぞれのプログラムの光景、お昼時間の食事の光景、リワークメンバーがCRESSを巣立って復職していく卒業式など。
写真をもとに、コマ割りやセリフを考えて、コラージュの技法を取り入れて、独創的なマンガが出来上がりました。
暮須なごみ(つまり、これはメンバーの一人ひとりです)が、復職に向かって、この休職期間をCRESSで生き生きと過ごしている生活が、描写されています。
リワークに関心をお持ちの患者さんや、将来CRESSに参加されることになるまだ見ぬメンバーの方が、このマンガを通じて、リワークというものをもっと具体的に身近に感じてもらえたら、嬉しく思います。
今回のリワーク通信では、現メンバーがリワークに参加する際に感じていた疑問や質問を取り上げて、それにスタッフと現メンバーが回答するコーナーがあります。
例えば、
「リワークには毎日通わないといけないのでしょうか?」
「何ヶ月くらいリワークに通ったら、復職できるのでしょうか?」
「プログラムを選んで参加することはできますか?出たいものだけ出てもいいのですか?」
など、どれも、リワークを利用するにあたって、多くの方が疑問に感じていたり、知りたい質問が揃っています。
回答にあたっては、リワークスタッフが治療的な観点からの理解と回答を提示した上で、かつて同じようにこうした質問を抱いていた現メンバーが、リワーク通信に盛り込んで作り上げました。
「休職期間に、なぜあえてリワークを利用するのか?」という大切な問いへの、CRESSからの一つの回答となっています。
リワークをこれから利用しようとされている患者さんや、改めて原点に立ち帰る必要性を感じている、リワーク通信の作り手である現メンバーさんにも、ぜひ目を通しておいていただきたい内容です。
さて、グループ作業は、リワーク集団を職場に見立て、決められた納期に間に合うように、プロジェクト(今回であれば、リワーク通信)に取り組むプログラムです。
今回のグループ作業でも、多くのメンバーが、メンバー間で生じる対人的な問題に苦しみ、悩み、葛藤しました。
ときには、はっきりと目に見える衝突が起こることもあります。
その場合は、当事者とスタッフとで一緒に話し合って、お互いの理解のズレを確認し、歩み寄ったり、相互に理解したりできるか、試みてみます。
辛い体験にはなりますが、しかし、たとえ仕事で衝突しても、それによって人間関係が壊れる訳ではなく、むしろお互いのことを知れたり、新しい関係に開かれる機会となるならば、そのメンバーさんにとっては、大きな成長の体験となります。こうした体験は、職場に戻ってから、生きてきます。
しかし、そういうケースはむしろ少ないのです。
多くは表面化しないままです。そして、今発生しつつある「対人関係の問題」や「グループの機能不全」は、ひそやかに、グループの中で、地下水脈のように、あるいはマグマのように、息づいています。
リワークでは、こうした問題を、なかったことにするのを、よしとはしません。
その理由は、ここまで読まれた方には、自明でしょう。
グループ作業は最もそうした体験が起こりやすいプログラムですが、それに限らず、リワークの中でメンバーが体験している、対人関係での悩みや葛藤を、表面に持ち上げて、それをできることなら当事者同士、さらにはグループ内で話題にして、皆で考えられることが、復職への力となるばかりか、各人の人間的な成長に繋がるからです。
こうした体験をリワークで持てる方は、確かに少ないかもしれません。辛い不快な体験になりうるからです。
ただ、一人でも多くのメンバーが、リワークの中で発生した対人関係の悩みや問題を、グループの中で考えられる機会が持てたら、と思います。
そうやって成長したメンバーの集団によって、グループもまた成長できるのです。
こうやって成長できたグループならば、それはグループを構成している私たち一人ひとりに、恵みをもたらしてくれるでしょう。
私たちは、CRESSをそういうグループにしたいと思っています。
このリワーク通信を作成し、CRESSを卒業しました。
人との関わり中で問題を解決できるようになることが社会復帰に繋がるのではなく、問題が起きても向き合える自分がいることが大切だと感じたグループ作業でした。
とても貴重な体験をありがとうございました。
匿名様
コメントをありがとうございます。
休職されている期間にCRESSでリワーク通信をグループで作った経験が、匿名さんにとって、職場復帰されてからも役立つようであったなら、とても嬉しいです。
自分自身に向き合うのは、誰しも一人では難しいことです。
自分以外の人との共有体験を通じて、人とは違う自分を発見したり、人と理解し合える自分自身を見つけたり……と、自分に向き合えるきっかけがもたらされると思います。
CRESS卒業後に、『一人だけでは自分に向き合えない、でも向き合う必要がある』と悩んだ時には、どうぞアフターリワークに来てください。どうしたら向き合えるのか、何に向き合えばいいのか、一緒に考えましょう。