リワークを卒業され、復職を決められた方がおられました。
今日は、いつもより長めの「終わりの会」です。(CRESSでは、一日のリワークの終わりに、「終わりの会」をしています)。
終わりの会ではメンバーの皆さんから、その方への贈る言葉を伝えました。
そのレスポンスとして、その方から返される言葉は、今後復職を目指そうとされているメンバーの皆さんにとって、重みがあり、良い刺激を喚起するものでした。
祝福の言葉がメンバーの皆さんから贈られるとともに、卒業という別れに伴う切なさも漂います。
春は出会いの季節でもあり、別れの季節でもあります。

メンバーからの贈る言葉に対して、その方が言われた言葉でとても印象的な言葉がありました。

「リワークを“第二の職場”だと思って、通っていた」と言われたのです。

第二の職場としてのリワーク。それは、受け身ではなく、主体的にリワークに参加し、経験を重ねて学んでいこうとする意識だったのでしょう。

これもその方が言われたことなのですが、同じ「職場」ではあっても、リワークは、会社など自分が勤めている職場と違っているところがある、というのです。
何が違うのか。
それは、自分の弱い部分、ダメな部分も、リワークでは言える。そして、リワークではそのことを怒られたり叱られたりはしない。
そういう意味での自由な場所である、という内容でした。

これはとても大切な気付きです。
自分がこれまでの人生で、心のどこかでは知っていたこと。
でも、それは、職場など外の世界では一般に評価されず、「ダメ」で「弱い」とみなされるような自分の部分。
だから人は、心のどこかでは弱い自分の部分を知っているのに、まるでそんなところはないかのように振る舞ってしまう。
確かに、誰だって、自分の弱い部分やダメな部分を他人に知られたくなどないでしょう。
それはとても恥ずかしいことだし、叱られたり、ダメだと烙印を押されてしまう怖さを伴うからです。

でも、リワークでは、そういう自分の弱さやダメだと感じているところをこそ、一緒に考えていくのです。
リワークで一緒に見て、ともに触れていこうとする心の部分です。
例えば、「自分に自信が持てない」、「課題に手を付けることができない」、「仕事を後まわし後まわしにしてしまう」、「一旦手を出すと、とことんやってしまって、生活が崩れてしまう」、「攻撃的な気持ちが出てきて苦しくなる」、「責任を担うことになりそうになると、逃げたくなる」……。
これらは、どれも、リワークで一緒に考えていく大切なその人のこころの部分です。
隠したり、逃避したり、なかったものとするのではありません。
そういう部分にこそアクセスしようとします。
どうしたらアクセスできるかを一緒に考えます。
そして、少しずつでも変化していくにはどうすればいいか、経験から学んでいこうとします。

それが第二の職場であるリワークで一緒にやる仕事――こころの仕事――です。

今日、卒業される方が言われた言葉は、第二の職場であるリワークが、どういう仕事をする場所なのか、あらためて考えさせられるものとなりました。