さて、今日は、先日のアートセラピーの時間で作った「リレー小説」について、ご紹介したいと思います。
リレー小説ではグループ全員で小説を書きます。
そして、あたかもリレーのバトンを手渡すように、順番にストーリーを作るのです。
① まず、最初の人が、小説のタイトルと冒頭の文章を作ります。
② 最初の人が作った小説は、二番目の人に渡されます。二番目の人は、一番目の人が作った小説の冒頭を受けて、小説の続きを書きます。
③ 以下、この作業を、グループのメンバーが順々にしていきます。
④ そして、最後の人が、小説の結末を書くことが求められるのです。
こうして次々と手渡される文章の流れが、小説のストーリーとなります。
一体どういう物語が出来上がるのか、どんな結末となるのかは、最後まで誰にもわかりません。
リレー小説に参加しているメンバーは、最初の人が考え出したタイトルを反映させたストーリーを作ることを意識する必要があります。
自分の番が来たときには、これまでのメンバーが作り上げてきた物語の流れを尊重しつつ、いかにストーリーを紡ぎだすかを考えます。
これまでの流れをそのまま受けて展開することもあれば(「起承転結」の「承」)、それまでの流れを少し変えることでストーリーに新鮮さと新しい流れを生み出すこともあるのです(「起承転結」の「転」)。
そして、最後の人は、どの方も苦労と苦心して、結末を考えておられました。
リワークでは、メンバーとスタッフの総勢12名が、それぞれ小説のタイトルと冒頭を書き、それをリレーしていきました。全部で12作の小説が出来上がりました。CRESSで作ったリレー小説集が出来上がりました。
どれもユニークで傑作揃いでした。今日はその中の一つを紹介したいと思います。
小説のタイトルは、「にじ」です。
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にじ
私が外出する時は決まって雨が降る。今日も今から大切な約束があるというのに、朝からすんごい雨……。(Aさん作)
洗たく物は乾かないし、髪のセットも決まらない。雨の日は気分が憂うつだ。(Bさん作)
しかし、『大切な約束』がある。憂うつに感じる時間など私には存在しない。(Cさん作)
憂うつを考えていると約束の時間が過ぎてしまった。(Dさん作)
いつも私の心は、行ったり来たりする。傘を用意して玄関を出ると、(Eさん作)
みどり色の可愛いカエルがいた。そこで私は、昔読んでもらった『にじ』という絵本を思い起こした。懐かしくて、もの思いにふけていると、(Fさん作)
この小さいカエルが一瞬、口を開いたように見えた。カエルが何か私に言っている!?(Gさん作)
『カエルの唄が 聞こえてくるよ グワァ グワァ ゲロゲロ グワァグワァ……』そんなはずはない。何かが違っている。(Hさん作)
よく分からないが、とりあえずカエルにキスをした。カエルはかわいいお姫様に変身した。(Iさん作)
夢を見ているのか……? どうなってるんだ? 童話のクライマックスじゃあるまいし……。どこからともなくオーヴァー・ザ・レインボーの歌が聞こえて来た。よく見る周りにも小さなカエル達がたくさん居る! そして歌をうたっているのだった。(Jさん作)
その歌声は私の憂うつな気持ちをみるみる晴らしてくれた。(Kさん作)
遠くから声が聞こえて来る。気付けば目の前には彼がいて、どうやら電車の終点らしい。雨はやみ、彼の後ろには大きな虹がかかっていた。雨もまんざらではないわねェ、とクスリと笑うと、彼は小首をかしげて不思議そうに見つめるけれど、私は陽気に彼の手を引いた。(Lさん作)
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今回、12のリレー小説が出来ました。
CRESSのメンバーの繋がりが生み出した、12個の大切な作品です。
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