前回のブログでは、リワークでの体験が、今リワークに参加されているメンバーさんにとって、どういうものになっているのかという視点に拠っているものでしたが、

 今回は、プログラム、一つ一つから何をどう体験するのかという視点から綴っていきたいと思います。

 これまでも、ブログの中では、リワークに参加した期間が長ければ長いほど、復職しやすいとか、再発しにくいというわけではないということをお伝えしてきました。

 

 リワークで1クール(2〜3ヶ月)過ごしたのに、復職がなかなか見えず、むしろ出席率が芳しくないとき、
 リワークに参加されているメンバーさんは、何を頼りに復職へと歩んでいけばいいのかと、不安に感じられるのではないかと思います。


  実際、「3ヶ月もリワークに参加したけど、自分は何も変わっていないように思える」、
「リワークに参加して、生活リズムは整ってきたけれど、復職が見えない。リワークと職場とは違った環境だし、ここで何かできるようになったとしても、リワークだからできるのであって、職場ではできないと思う。リワークに参加する意味がだんだんわからなくなってきた。」と、
復職に向かえない問題が、リワークに参加する意味を問うという形で表明されることが少なくありません。


 そういった言葉を耳にするたびに、メンバーさんだけでなく、私たちスタッフも、
どうしたら、リワークの体験と復職とがつながっていくのかなと、改めてリワークの活動について考えたり、点検したりする機会になっています。

 
 疑問に感じるというのは、大切なことでしょう。
 疑問を抱いたことによって、自分が今やっていることの意味を考えるきっかけになるし、今直面している課題とどう向き合えばいいのか、自分にとって何が必要なのかを知るきっかけになるのかもしれないですから。

 リワークでやっていることと、復職とがつながらない人は、今リワークで体験していることを直視することが難しくなっているのかもしれないと考えることもできるでしょう。



 そういうときには、リワークで今取り組んでいることに、もう一度、目を向けてもらいたいのです。


 たとえば、日々の生活記録をつけることになっています。
 これは、今、自分がどういう生活をしているのかを視覚化したり、どういう体調なのか点検したり、どういうことで気分や体調に影響が出るのかを知るために役立ちます。

 認知療法では、1週間のうちで、気持ちが大きく揺れ動いた出来事をピックアップし、そのときの気分や頭の中に浮かんできた考えというのを整理していきます。

 ストレッチの時間には、今自分の身体をどのくらい動かせるのかを感覚的に知ることができます。

 こうして、プログラムを通して、みなさんはいろんな面から、“今、自分がどういう状態なのか”というのを知ることができるのです。

 

 今、自分がどういう状態なのかを知り、これまで自分がどうだったのかなと振り返ることで、“今の状態で仕事ができるのかな”、“復職したあと、自分で体調管理できるかな”、“周囲の人とうまくやっていけるのかな”と考えることになるでしょう。


 そうすると、
 「今までは、こうしてきたけど、それは良くなかったんじゃないか」
 「自分はこれが正しいと思ってきたけど、違うやり方の方がいいんじゃないか」と
 これまでの自分のあり方に、自分自身が直面する必要が生まれます。



 でもそう感じることの方が、きっと当然のことで、
 リワークの中で、自分の壁と向き合い、どうしていけばいいのか考えることが、リワークで重要な作業といえます。

 
 自分を信じるためには、自分に疑問を投げかけてみないと、本当の自信にはつながらないのではないでしょうか。


 “自分はできる”と確信を持ちたい人は、自分ができないことがあるかもしれないという不安を見たくなくて、回避しがちになってしまうかもしれないけど、
 “本当に、自分はこれができるのかな?”と考えてみることで、どのくらいのことが今の自分にできるのかということがわかり、それが自信へとつながると思うのです。

 
 リワークでは、毎日さまざまなプログラムを行っています。


 その中で、「自分は、どうかな?」「これまで自分はどうしてきたかな?」「どう過ごしてきたかな?」と考える作業を、日々繰り返してみて、ここでの体験を、復職へと主体的に進めていきませんか?