在籍メンバーさんたちが作った第7回CRESS交流会ウェルカムボード |
遡ること第1回の交流会は、リワークプログラムが開始して1年が経った2013年のことでした。
毎月第3土曜日に開催しているアフターリワークの対象者は、CRESSの卒業メンバーです。アフターリワークでは、卒業メンバーが復職してから職場で経験していることを、卒業メンバーとスタッフとともに考えます。復職してからこそ、職場でいろいろな悩みや困り事を経験するからです。アフターリワークのグループディスカッションと個別相談、生活習慣チェックを通じて、卒業メンバーは再発予防に取り組みます。
そんな中で、8月の第3土曜は、通常のアフターリワークではなくて、一年に一度のCRESS交流会を開催しています。
アフターリワーク同様、交流会にも復職された元メンバーが参加されます。
アフターリワークと違うのは、交流会では、現在リワークに参加して復職を目指している在籍メンバーが、卒業メンバーからお話を聴くのです。
だからCRESS交流会を開くために、スタッフと在籍メンバーとで協力して準備をします。
「グループ作業」の4回分のプログラムを使って、在籍メンバーが交流会の準備をしてきました。
メンバーの中からリーダーを選出しました。当日はどういう係が必要なのかを、過去の交流会を参考にしながら検討しました。準備作業のためには、作業グループに分かれて、当日に向けて準備してきました。
CRESS交流会の会場。 普段のリワークルームが、卒業生のお話を参加者が聴けるような会場に変身させます。 |
在籍メンバーが、卒業メンバーにお話を聴くのです。インタビュアーの仕事は、在籍メンバー全員で担います。どの参加メンバーも、卒業メンバーに質問し、卒業メンバーの話を聴き、対話していくのです。
準備段階で、事前に質問項目を決めました。リハーサルも実施しました(在籍メンバー同士で、卒業メンバーとインタビュアーのロールプレイをしました。)
そうした準備作業の中で発見できたことがあります。
大事なのは、準備された質問項目を、機械的に質問をすることではない。
いかにインタビュアーである在籍メンバーが、メンバー自身の心境を伝えながら、卒業メンバーにインタビューできるか、という視点でした。
復職に向けてリワークで取り組んでいるけれど、壁にぶつかっている。
復職しても、あの苦しかった職場に果たして溶け込めるのか、とても不安だ。
リワークプログラムでなかかな思うように積極性を出せない。
このようにして、各メンバーの現在の経験を言葉にしながら、かつてはCRESSで同じように壁つぶつかり、復職に怯え、リワークで発言できずに苦しんでいただろう卒業メンバーに、そして現在では、職場で同じような経験をしながらも粘り強く働いているる卒業メンバーに、訊きたいことを、質問していく。
そういう質問こそが、卒業メンバーの心に届いて、卒業メンバーが自分自身の経験を、在籍メンバーに語りかけてくれるのではないか。
当日は、全員がそういう問題意識を持って、臨みました。
交流会のインタビューで顔を合わせるインタビューイの卒業メンバーと、インタビュアーの在籍メンバーは、ほとんど初対面の組み合わせです。
しかし、インタビューでの対話を私は聞きながら、リワークでの在籍時期の違いを越えて両者がまるで、同じ時期にCRESSでともに復職を目指して力を合わせているメンバー同士が語り合っているように思いました。
卒業メンバーは、当時CRESSで復職に怯え、リワークで苦しみ、しかしそれを一緒に乗り越えていったメンバーと心の中で再会しながら、現在の職場での体験を、在籍メンバーに伝えていました。
その話に、自分の経験を重ねあわせながら、在籍メンバーが耳を傾けている。
交流会に参加された方たちが、とても大事は心の交流を持たれたことを、私は確信しています。
卒業メンバーの皆さんには、それが明日の職場へと踏み出す力になることを信じてもらいたいと思います。
在籍メンバーの皆さんには、CRESSでの経験の積み重ねが、復職につながることを。そして、今度は、交流会で在籍メンバーに語りかける人になっていることを、信じてもらいたいと思います。