今でも、まだ暑さを感じる日があります。
そんな日は、『もういいかげん、秋になって欲しい!』という思いがします。
秋が一番好きな季節なので、余計にそう思います。
秋は、「食事」や「スポーツ」、「芸術」など、ひとの営みを大事に経験するのにふさわしい季節、という印象がありますね。
「芸術の秋」について言うと、長年実物を観てみたいと個人的に思い焦がれていた画家の絵が、ちょうどこの秋に展覧会で見られるので、時間を作って何としてでもこの目で観てみたいと思っています。
暑過ぎず、寒過ぎず、湿度や気候といった点で、秋という季節が個人的にとても過ごしやすい、というのは、秋が好きな理由の一つです。
秋の自然が好きです。
木々の葉が紅く染まり、それが落葉するのを、美しいと感じます。
春の開花や夏の新緑も、もちろん美しいのですが、秋の自然の姿に特別に心引かれます。
それまでに発達した植物の部位が、秋に果実などの実りとなること、そして冬の到来を前に植物が葉を落とし、寂寥漂う姿になること。
成長してきたものが、実りとなり、しかしそれが喪失される。
秋の自然が、そういう思いを感じさせます。
ここまで個人的な秋に関する所感を書いてきて、はたと気づきました。
自分が秋が好きなのは、秋を秋として単独に好きだというよりも、秋に至るまでのプロセスと、その後に続くプロセスがあってこそ、秋という季節が好きなのだ、と。
私が、それが困難であろうと、ひとの心の変化と成長というプロセスを信じていて、それをともにする仕事をしていることも、ひょっとしたら、影響しているのかもしれません。
経験を大事にできる季節。経験を大事にしようと思えるに至る季節。
それまで取り組んできた経験が、そのひとにとっての実を結ぶ季節。
それでも、大事なものを失い、失われる。しかしその喪失が、また次の生につながる季節。
いろいろ思うと、ますます秋が好きになりました。と同時に、好きな秋が、それだけで好きだったわけでもないことを考えました。
あなたの好きな季節は、いつですか。