リワークプログラムCRESSのプログラムの一つに、「グループ作業」というプログラムがあります。

グループ作業では、リワークの集団を職場に見立てます。CRESSメンバーが、いわば、職場の同僚に当たるわけです。そして、2ヶ月ほどの期間をかけて、一つのプロジェクトに、CRESSメンバー全員で取り組みます。

具体的には、グループ作業も、CRESSの多くのプログラム同様、毎週1回実施しています。1回の時間は、半日プログラム(105分間)で、これが一つのプロジェクトにつき、10回前後。この決められた時間の中で、一つのプロジェクトの完成を目指すのです。

これまでのグループ作業の成果物は、当院のホームページにすべてアップし、公開しています。


ワクワク♪リワーク通信

タウン誌 和(なごみ)〜こころの寄り道〜

文芸誌オーロラ(Aurora)

響生(きょうせい)メモワール


今回は、直近のグループ作業の成果物を、ご紹介します。

ワクワク♪リワーク通信2022年秋号(No. 30)です。



リワーク通信も、今回で通算第30号になりました。
遡ること、創刊号が2012年秋。これがCRESS初めてのグループ作業の成果物でした。
これまでのメンバーさんたちが作ってくれたリワーク通信には、この10年間のCRESSの歩みが刻まれています。
今回のリワーク通信も、過去の作品の大事な部分を継承した上で、今のメンバーだからこそ作ることができる作品を目指しました。

グループ作業のプロジェクトとその成果物には、共通目標があります。それは、
CRESSの今のメンバーだからこそ発信できる内容にすること。
だから、その内容は必然的に、メンバーがCRESSで経験していることを出発点にしています。
リワーク通信も、まさにそうです。
リワークですから、メンバー全員で復職を目指している集団です。しかし、それは「リワーク」についての天下りの説明です。
もちろん、私たちスタッフは、リワークという集団療法の意義を、復職と再発予防の観点から、説明する言葉を持っています。
しかし、実際にリワークに参加しているメンバー自身は、リワークで何を日々経験しているのでしょうか。

メンバーのリワークでの経験を発信するのが、グループ作業のプロジェクト。
CRESSのグループ作業の成果物は、メンバーが実際に何を経験しているのかを、経験の当事者であるメンバー自身が、外に向けて発信する仕事なのです。

今回の最新のリワーク通信をご覧いただけたら、現在のCRESSメンバーたちの率直な想いの一端が、分かると思います。
リワークで復職に向かって順調に進んでいる、という一面的な内容は、ここにはありません。
在籍期間も年齢も様々なCRESSメンバーが、グループの中で、復職への不安や、リワークの中での辛い経験も含めて、しかし、お互いに影響を与え合いながら、日々リワークに参加していることが、きっと読者の方に伝わるものと思います。
楽しいことも、辛いことも、嬉しいことも、悲しいことも。グループでお互いに関わり合うから、経験する。
休職という痛みの経験を持ったメンバーが、一人ではなく、グループの中で、いろんな気持ちを経験して、それを一緒に考える。
きっと、それが、生きていることなのです。

限られた紙面の中で、CRESSのメンバーが経験を文字にし、絵を描き、一つの作品にする。
手を動かし、心を動かし、交流しながら、仕事をします。
そうすることで、仕事をするからこそ経験できる、いろんな気持ちが感じられます。
楽しいことも、辛いことも。嬉しいことも、悲しいことも。
いろんな気持ちを一緒に考え合えると、もしかしたら、仲間だと感じられるかもしれません。
そんな相手には、感謝できるかもしれない。
リワーク通信で、少しでも多くの方に、CRESSメンバーの取り組みが伝わったら、嬉しく思います。