CRESSには、休職中のメンバーが、復職を目指してリワークに参加しています。
しかし、職場に再度行けることを目指してリワークに通うようになったのに、遅かれ早かれ、多くのメンバーに、
リワークを欠席する
という体験がされるでしょう。

多いのは、「体調不良」で当日お休みする場合です。風邪を引いたり、頭痛がしたり、熱があったり、身体が動かなかったりと、体調不良の内実はさまざまですが、当人にとっては、『朝起きたけれど、この状態の自分では、今日はリワークに行けない……』と感じられています。
そして、欠席の電話をリワークにすることになります。(お休みされるときは、無断で休むのではなく、電話連絡をしてもらいます。)

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体調は確かに良くないのです。しかし、『リワークに行きたくない』という気持ちがあったと思うのです。説明のつきやすい「体調不良」という言葉によって、『リワークに行きたくない』という体験が、粉飾されているかもしれないことを、リワークでは考えます。「体調不良」という言葉は、より日常語となった「しんどい」という表現となるかもしれませんね。

リワークを欠席しても、リワークでは誰かから叱られることはありません。
叱ることは、リワークの治療的な取り組みとは、本質的に異なります。

しかし、リワークでは、「なぜ私は、この日、欠席するという行動を取ったのか」といことを、その方に考えてもらうことをしてもらっています。

多くの場合、メンバーさん一人では、なぜ休むことになったのかを考えるのは難しいので、リワークではスタッフも一緒に考えます。
なぜ「しんどくなったのか」、そして「しんどくなった際、休むという行動をしたのか」ということを、メンバー当人に、考えてもらいたいのです。
欠席するという行動そのものについて、振り返り、考えることこそ、リワークでの治療的な取り組みの中核的な体験です。
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リワークを、職場になぞらえてみましょう。
リワークを休むことは、職場を休んだことを意味します。
つまり、その方が職場を休むようになり、職場に自分を自力では運べなくなったこと(休職)が、リワークに参加して同じように起こっているかもしれない、と考えるのです。

リワークを休んだときに、「なぜそうなったのか」と考えること。
リワークに自分を自力で運べなくなったとき、そのときの自分の本当の姿を、明らかにすること。

それは、結局、「職場に行けなくなっている自分の姿」を見ることです。
「なぜ自分は職場に行けなくなっているのか」を知ることです。

なぜ、あなたは、リワークを休んだのでしょうか?
「体調不良」や「しんどい」という言葉を用いて、欠席という行動を理由づけることに満足していると、「なぜ私は休職することになったのか」を知ることは、おそらく、できません。

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一緒に考えましょう。

その日のプログラムの内容が苦手なのかもしれない。内容が難しくて理解できず、しかし、そういう「できない自分」を見られて知られるのを避けたいのかもしれない。
その日のプログラムに、興味が持てないのかもしれない。つまらないし、行っても無駄だと感じているのかも。

その日のプログラムは、メンバーと協働作業するプログラム。メンバーと一緒に働くのが嫌なのかもしれない。コミュニケーションをとるのが怖いし、不快だし、嫌だった。その日は身体が重くて、自分を持って来られなかったのかもしれません。

苦手な人がいるのかも。「あの人とリワークで顔を合わせなくてはいけない」と思うだけで、憂鬱になり、「これからも、リワークに行くとあの人がいるのか」と思うと、頭が痛くなるのかもしれません。

前日に、リワークで嫌なことはありませんでしたか?嫌なことを言われた、プログラムで間違った発言をしてしまった、きついことを思わず言ってしまった……。昨日のことを思い出すと、とてもリワークに顔を出す気になれないのかもしれません。

リワークに来るときは、いつも元気で笑顔で活力があるのに、落ち込んでいて暗くて仕事のできない自分が登場してくると、人の前に姿を見せられなくなるのかもしれません。

自分とは異なる人が集まるリワーク集団では、とにかくいっぱい不快なことを感じるのかもしれません。そして、不快を感じると、それを避けること(つまり、欠席する)でしか、今のあなたは、不快に対処できなくなってしまったのかもしれません。
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リワークを休んだときこそ、逃げないで、考えてほしいのです。
休んだときの自分の姿(これは、私たちスタッフからは隠されています)が、なぜ自分が休職したのかを、教えてくれます。

それを「体調不良で、しんどかったから、休んだ」ということで終わらせていては、あまりにもったいないです。
もったいないどころか、復職するために最も必要な自分への気付きを、逃してしまっています。

体調不良に限りません。一見正当に聞こえる理由、つまり、「家の用事」でも、「前からわかっていた用事」であっても、どんな理由であれ、リワークに通う皆さんが、リワークを休んだ場合、それを考えてみましょう。

どうですか? リワークに登場していなかったときの自分の姿を、ありのままに見ることが、できますか? 
見てみると、それは多くの場合、見るのが嫌な自分の姿です。

しかし、それを私たちが見られるようになったとき、そして、それを誰かと一緒に考えられるようになったとき、その人には、これまで休むことでしか対処できなかった不快な場所を、休むこととは違うやり方で乗り越えられる道が見えてきます。

その道は、不快なことがいっぱい起きる職場や環境に自分が置かれたときに、長期欠席して自分の本当の姿を隠してしまう行動ではなく、悩んで困っている本当の自分の姿を運んでいける道となるでしょう。
悩んで困っている自分の身、助けを求めている自分の身、そういう自分を、自力で持っていける力が、そこには生まれたのです。