さる2月22日(土)、リワークプログラムCRESSを卒業された元CRESSメンバーの皆さんの同窓会を、リワークルームで開催しました。
休日にもかかわらず、おおぜいの方に集まっていただきました。今回は参加できない旨ご連絡頂いていたメンバーさんには、同窓会当日お会いすることはできませんでしたが、またの機会にお会いできるのを、楽しみにしています。

同窓会では、午前中は皆で輪になって、リワーク卒業後、職場に戻って思うことを、自由に話し合いました。皆さんの声を実際に聞いてみると、メンバーさんがリワークを旅立たれた後も、おのおのの職場や生活の場で、日々思い悩みながら体験を積み重ねて、いろいろなことを考えていることがわかりました。

グループの中から、アドバイスが出たり、感想が述べられたり、一緒になって悩んだり……こういう反応が生まれました。

順調にいっている方の話で印象的だったことがあります。その方も職場で困ることは日々生起しているのですが、リワークで身につけたことや、リワークメンバーと協働し交流した経験を支えにして、職場の同僚にも相談したり、自らがコミュニケーションをすることで、乗り越えていっている、という話でした。
リワークに参加する前は、自分で自分のこころを閉じて一人で何もかも背負いこんでいたのでしょう。きっと、その頃は、こころを開いて助力をもらうことを恐れておられたのだと思いました。
そういう方が、リワークでの出会いを通じて、何らかの内的な変化をしたのでしょう。例えば、それまで自分が知らなかっただけで、自分はいろんな人に実は支えられたり助けてもらっていたことを知る体験を、休職中持たれたのかもしれません。すると、これまでかたくなに閉じていたこころの壁も、徐々に緩くなってて、素直な自分の顔が出せるようになったのではないでしょうか。そういうプロセスを、リワーク参加中に成し遂げていったのかもしれません。

もちろん、当日集まってくれたメンバーの中には、復職しても不安や困ったことがたくさんあること、とても順調だとは感じられないのだ、という不安をお話しされた方もいます。
そういう方が言われたことで、とても印象的だった言葉があります。私なりに要約すると、以下のようなことを言われていました。
「今の自分は、リワークを卒業しても順調だとは言えない。だから、順調に復職している人たちが同窓会に集まってきていると思うと、出席するのも躊躇いがあった。最初は、欠席しようと思っていた。でも、同窓会に来てみて、みんなの話を聞くことで、何か力がもらえると思ったし、自分の現状を話すことも意味があると思って、今日は参加しました。」

こういうことが、とても大切なのことだと思うのです。

リワークの同窓会では、リワークで学んだことを職場で立派に活用していることを発表しあう場というよりも、卒業された皆さんが、今悩んでいることを自由に話せる場として機能できればと思っています。
順調に行っていることを発表したり、よく出来ていることを披露しあうだけの場になってしまっては、休職前に自分を良く見せようとして人に依存できなかったり、弱みを決して見せることができずに、一人崩れていってしまったことと、変わらないことになってしまいますから。

リワークの体験を通じての内的な変化とは、「よく出来る自分だけを見せて、弱い自分をいかに隠せるようになるか」では決してなく、「弱い自分や助けを求めている自分を、いかに自分自身が迎え入れることができ、それを他人にもコミュニケーションできるか」なのですから。

だから、同窓会で、皆がそれぞれの不安を言葉にできることそのものが、とても大切だと思いました。
そして、当日の同窓会が、そういう場所として、参加者の皆さんに体験されていたように思いました。
そして、久しぶりの再会を温めあえるときともなりました。

お昼は、学校のように皆でお弁当を食べて、近況や四方山話に花が咲きました。

午後は……卓球!
リワークの軽運動のプログラムを懐かしみながら、メンバーさんの素が出る楽しい時間となりました。
写真から、そのときの楽しさが伝わるでしょうか?

卓球の一コマ! 笑いがリワークルームに溢れます。



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同窓会の報告と、今日はもうひとつ、リワークのグループ作業で、
「ワクワク♪リワーク通信」の春号(第5号)
が見事完成したことを、報告したいと思います。
完成した「ワクワク♪リワーク通信」春号(第5号)です!

リーダーを中心に、リワークメンバーが協力し合い、見事に完成させた大事な作品です。
今回のリワーク通信では、過去のメンバーが作り上げてきたリワーク通信の伝統を生かして、再利用できるデザインについては過去のものをそのまま用いる方針を、リーダーを中心に決めました。
その上で、新たに今のメンバーでこそ発信できるリワーク体験を織り込もうとされました。

その意味では、今回のリワーク通信の中には、CRESSでの過去と現在が交錯していて、時間の重みを感じさせる素晴らしいものが完成したと思います。

グループ作業でメンバー同士が体験したことは、仲間と気持よく仕事ができた喜びや達成感といったポジティブな体験もあれば、それだけでなく、メンバー間でのコミュニケーションのしにくさや不満や怒りや劣等感といったネガティブな体験もあることでしょう。

そのどちらの体験にも開かれることが、大切だと思うのです。
そして、ネガティブな体験があったとしても、それをリワークで理解し合えることができれば、それは、リワーク卒業、復職されてからも、その人の本当の力になると思います。

ネガティブな体験から目を背けたり、そのことがもとで関係が破壊されてしまうのではなくて、嫌なことも含めてコミュニケーションしていこうとする体験ことが、リワーク集団が持つ治療的力なのですから。
そういう体験ができるために、私たちも皆さんに付き添っていきたいと思っています。

同窓会とグループ作業を通じて、CRESSでメンバーがとても深い交流と体験をしていることに、あらためて私たちスタッフも気付いた思いがします。
それだけに、CRESSに参加された皆さんを、参加されているときはもちろん、卒業後も同窓会などの機会を設けて、しっかりとフォローしていく責任感を感じています。