猛暑が続いた今年の夏ですが、ようやくここ1週間ほど、朝晩に涼しさを感じるようになりました。この、暑くもなく、かといって寒くもなく、という秋の空気を感じると、昔からなぜか切ない気持ちになります。過ごしやすい気候になって嬉しいはずなのに、なぜ切なくなるんだろう、と不思議でした。


 先日、朝のひとこと(CRESSでは毎日、日直さんが朝にスピーチをされます)を聞いていて、気づいたことがあります。それは、夏という季節は、誰しもにとって、何かしら乗り越えなければいけない「山」なのではないかということです。もちろん、物理的に暑さに耐えて乗り越える、という意味でもそうですが、精神的な部分も大きいのではないかと思います。高校野球に代表される、一年の集大成とも言える試合や大会は、たいてい夏に行われます。春から夏にかけて大きな山に登って、ひと山越えて秋を迎え、気づくともう年末がすぐそこに…という季節の流れを、みなどこかしら感じているような気がします。また、夏に騒がしく鳴いていた虫や鳥も、秋冬になると一気に、しん…と静まり返ります。これも、秋や冬にどこか切なくなる理由かもしれません。



 CRESSを振り返ると、5月にコロナウイルス流行の影響で一旦休止、その後少ない人数で再開し、やっとそろった全員で、今年の夏を乗り越えてきました。9月に入り、ひと山越えてほっと一息つく人もいれば、後悔が残っている人、なんだか乗り越えた感じがしない人、そもそも山ってあったのかな?と思う人、さまざまかと思います。秋になり、年末がもうそろそろ見えてきて、焦燥感を抱きやすい時期ですが、これまで自分が積み重ねてきたことを振り返り、一歩一歩進んでいければと思います。