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リワークを利用された患者様の感想[2024年7月~2025年6月]

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リワークを利用された患者様の感想[2024年7月~2025年6月]

T.T.さん(リワーク在籍期間:170日)

『卒業文集』

「ドクターストップということです」

主治医の先生からこの言葉を聞くのは4回目になる。つまり、4度目の休職になった。しかし、今回、先生はこう続けた。
「復職に向けて今回は時間がかかると思います。今回はきちんと対策をしてから復職しましょう。少し動けるようになったら、リワークプログラムの受講も検討していきましょう」
私は、この言葉を受けて、今回は深刻な状況なのだなと感じた。今までのように、元気になってきたからと言って復職はさせてもらえそうにない。しっかりした対策を講じなければならない。休職が決まった段階では、ぼんやりとしか分からない状態だった。
結局、今回は復職するまでに1年3ヶ月の期間が必要になった。そのうちリワークに通ったのは6ヶ月になる。長いようで短いような、しかし、私にとってはとても重要で意味のある期間だったと感じる。

リワークに通い始めた当初、本当に仲間に入ることができなくて、孤独感しかない状況に陥った。会話が基本的にない。誰にも話しかけない。誰からも話しかけられない。そんな状況だった。しかし、時間が経つにつれ、少しずつ話す人も増え、励まし励まされという関係が一部のメンバーと持つことができるようになってきた。自己開示を進めることで、相手も自己開示をしてくれる。それによって何に悩み、何に苦しんでいるのかをお互いに話すことができた。本当の意味で仲間に出会えたと思えたし、リワークの場は、いつしか私にとってはなくてはならないものになった。

とはいえ、順風満帆というわけにもいかない。プログラムの中で、私は攻撃的で威圧的な態度を取ることが幾度かあった。これによって、メンバーとの間に溝ができることになったし、自己嫌悪もひどくなった。一時は、リワークの中止すらスタッフの先生方に申し出たほどだ。しかしながら、主治医の先生含めスタッフの先生方も誰一人、リワークの中止など認めてくれるはずもなく、私は苦しみながらも続けることになった。その間、針の筵にいるとはこのことかと感じることだらけだった。こんなに悩んで、しんどくて、いったい自分は何をしているのだろうと思うことも多かった。でも、それを乗り越えることができたからこそ、今、リワークの卒業を迎えているのだ。

自信をもって、私は変われたと言えると思う。それは、復職を考え始めた時期からメンバーにも伝わっていたように思う。自分自身でいうのも変だが、私自身、変わったなと思うことが多くなった。そして、こんなに支えてくれるメンバーが自分の近くにいるということが本当にうれしいと感じるようになった。 変わらない部分もある。でも、それでも、そういう自分を受け入れることが大切だと思う。そういうことも理解できたようになったと思う。より良くしていくために、声を上げる必要がある場面があったら、躊躇なく、声を出せるようにならないといけないとも思う。自分自身に素直に生きるということが大事だということを最終的には私は学んだと感じている。

メンバー全員と仲良くはできなかったかもしれない。特定のメンバーとの関係が濃いということも否定はできない。けれど、そういう中で、お互いに学びあえる場所が、CRESSにはあるように思う。メンバーもスタッフの先生方も、同じ目標に向かって頑張っていける。そういう場がここだと思う。今の時代にそういう場はなかなかないものだ。本音で話し、本音でぶつかり、だからこそ、泣き、怒り、笑う。そして、心のつながりが深くなるからこそ、メンバーそれぞれの成長を感じられるし、その成長を喜べる。他人のことをこんなに考えた時間は、そうなかったように思う。他人のことを考えるから、自分のことも考える。つまり、自分のことをこんなに考えた時間もそうなかったと思う。私は、ここで過ごせて正解だった。本当の意味で、一生の友を得た。そんな風に思っている。

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I.R.さん(リワーク在籍期間:159日)

『CRESSで変わった自分、変わらなかった自分』

私は2022年の12月から休職し、2024年の2月から7月までリワークに参加しました。リワークに参加する前は体調が悪くて外出もできず、家でひたすらネットサーフィンをしていました。刺激のない日々だったので、心に大きな傷を負うことはありませんでしたが、復職期限が近づくことに日々焦りを感じていました。そんな時に上司にリワークというものがあると教えてもらい、調べて見つけたのがCRESSでした。
調べてみると、リワークにもいろんな種類があることがわかりました。CRESSのようにメンバー同士の交流が盛んなところもあれば、個人作業のみをするところもありました。

CRESSについて調べているとプレゼンテーションやディスカッションがあることがわかり、私にはそんなことできない!と思い、初めは個人作業のみのリワークに通おうとしていました。しかし、CRESSのホームページに掲載されているリワーク通信を読んで、リワークに参加しているメンバーが苦しみながらも成長しようと取り組んでいることに心が動かされたのです。「私も変わりたい」と思い、不安を抱えながらもCRESSへリワーク参加の申し込みを送りました。

リワークに参加した当初は、とにかく自信がありませんでした。ダメな自分を見せるのが怖くて、しっかりとした人物を演じていました。しかし、周りから「しっかりしているね」と言われると、そう思われたかったはずなのに、私はそんな人間じゃないと心で叫んでいました。周りの人が見ている自分と本当の自分の乖離に苦しみ、どんどん自己嫌悪に陥りました。

そうしてリワークで過ごしているうちに、初めての個人プレゼンの日が来ました。初回はオブザーバーとしてメンバーの発表を聞いていると、同じテーマでも発表方法や発表内容にメンバーそれぞれの個性が出ていて「個性ってこんなに面白いんだ!」と感動しました。いままでダメな自分を隠すために人に合わせてばかりだったけど、私も個性を出せるようになりたいと思ったきっかけでした。

それから自分を表現しようと努力し始めましたが、そう簡単にうまくいきません。もともと自分の話をするのが苦手で、自分から他人に話しかけたり、自分の感情を相手に伝えたりすることがなかなかできません。そんな受け身なコミュニケーションの姿勢をメンバーや先生に指摘されたこともあります。自分のコミュニケーションの課題に衝突し、いままでの仮面をかぶった自分では感じることのなかった苦しみを感じました。

それでも、自分を表現できるように変わりたいという思いは消えませんでした。私は、自分の気持ちを言語化して相手に伝えられるようにするため、リワークのプログラムで何を感じたのか丁寧に振り返るようになりました。メンバーや先生からの耳が痛くなるような意見も、その発言の意図をかみ砕いて自分の中に取り込めるように努力しました。そうした努力を続けることで、少しずつ自分から誰かに話しかけたり、自分の思っていることを伝えたりすることができるようになっていきました。メンバーからも「最近のあなたは、ここに来た時からかなり変わったと思う。自分の意見を言えるようになった。」と言ってもらえることが何度かありました。
しかし、変わっていないこともまだまだたくさんあります。自分の思っていることを言語化するのに時間がかかるので、ディスカッション中は他のメンバーの意見をリアルタイムに聞きながら自分の意見をまとめることに苦労します。個人プレゼンでは原稿をきっちり準備して何回か練習しても、本番は緊張で声が震えます。今書いている卒業文集も自分の気持ちをまとめるのに時間がかかり、期限ギリギリに提出しそうです…。

でも完璧じゃなくていいとCRESSで学んだので、そんな自分を隠そうとは今は思いません。できないことも、私の個性です。むしろ、できないことがたくさんあるからこそ、周りの人にそれを伝えてサポートをしてもらわないといけないと思っています。実際にこの文章を書いている現在、私は午前に出勤してから午後リワークに参加しているのですが、午前の出勤時は不安なことやわからないことを相談するように練習しているところです。

今一緒に過ごしているリワークのメンバーに私の印象を聞いて、「しっかりしている人」と答える人はきっといないでしょう。それだけ、自分のポンコツなところをメンバーに見せてきたと思います。それでも、私はリワークに参加した当初より自分に自信が持てたし、自分が好きになれました。もしあの時CRESSに行くことを選んでいなければ、今の自分に出会えなかった気がします。CRESSに来て、みなさんに出会えて本当に良かったです。

最後になりましたが、一緒に過ごしてくださったメンバーの皆さん、先生方、スタッフの方、今まで本当にありがとうございました。これからも、周りの人に支えてもらいつつ、自分らしく生きていきます!

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I.K.さん(リワーク在籍期間:173日)

『卒業文集』

私は2024/2/5~2024/7/26までの約半年間、在籍しておりました。

最初は主治医にリワークを勧められ、言われるがままに参加を開始しました。その頃は親友3人と家族としか話しておらず、知らない人と話すことが久しぶりで、初日は案内や自己紹介をしてもらったこともほとんど覚えていないくらいガチガチに緊張していました。
開始後も慣れるのにかなり時間がかかり、一言話すだけで涙が溢れてくるような状態が続いており、何を発言するのにも不安を感じていたし、メンバーさんの発言から衝撃を受けて落ち込んだり、体調を壊すことも多く、リワークを休んでしまう日も多くありました。

休みを繰り返す私に眞田先生から「リワークを都合よく使わないでほしい。何のためにリワークを使うのか、どうなりたいのか考えてください」と少し厳しい言葉を送られました。そこでやっと自分が何も前に進めず逃避行動ばかりになっていたことに気づき、自分なりに課題を考えて変われるように目標を持ってリワークに取り組むことができるようになりました。私の課題は大きく「逃避癖」「劣等感」だと考え、まずは嫌なことがあっても毎日リワークに出席すること、出来ないところは反省しつつも出来たところにも目を向けて振り返ってみる習慣をつけることを意識しました。負荷がかかっても逃げなかったという実績を自信にしたくて、グループ作業で役職に就くという負荷をかけたりもしました。その過程で、「できて当たり前のことをしても頑張ってる感じがしない、やっと当たり前ができるようになっただけだ」と感じており、私は私が思っている以上に自分に厳しいことを知り、これも劣等感の要因だったんだなと気づけました。

リワーク開始時に比べると、今の私は周りからも「変わったね」と言われることが多いです。ですが自分の感覚的には、リワークで感じたいろんなことや学んだことを取り込みながら、休職に至る前の元気な自分を取り戻してきているような感覚を感じています。変わらない部分も変わった部分も自分であることや、人や出来事に動いた心を、良し悪しに関わらず、気づいて素直に受け止めて、消化したり大事にしたりできるようになったこと。これは今後自分を大事にして働いていく上で大切な学びだったなと感じています。

休職という経験は良いものではなかったかもしれないけれど、リワークで学んだから成長できた部分も多くあり、休職は私の人生のなかで必要な期間だったんだと受け止めています。私は復職ではなく転職という道を選びましたが、時々立ち止まり振り返りながら、マイペースにゆっくりと頑張っていこうと思います。

メンバーさん、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。

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Y.T.さん(リワーク在籍期間:103日)

『休職~CRESSとの出会い 感謝へ』

私は、休職してからCRESSに参加するに至るまでかなりの月日を要しました。
主治医の和田先生からも勧めて頂いていましたが、ただ休職真っ只中の当時の私はまだすんなりとは決められず、リワークという初めて聞いたその聞き慣れない単語が耳に残 り、
一体リワークって何?何をするん?どんな所?何で行かなあかんの?
と違和感でしかありませんでした。まだ全てを受け入れられず、身体も心も全く動けない状態でした。会社の産業医の面談時にもその単語が出て、色々なリワークを受けれる場所の案内を受けましたが、全く意味不明なものという感覚でしかなく、何もしたくないという考えしかありませんでした。そして、ずるずると日にちだけが過ぎていき、気がつけば年が明け、春が来、桜が咲く季節まで経っていました。

そして、何度目かの産業医面談実施時に衝撃的な事実を叩きつけられました。
年齢的なことから、会社との再雇用契約時の制約条件の説明を受け愕然としました。
条件内容が未達ならば、正社員雇用でも給与面がほぼアルバイトの給与と同じ状態になる。と、こればかりは今後の生活をしていく上で避けなければならない事から、和田先生へ泣きついた状態で相談をしました。改めてリワークの案内を受け、5月のゴールデンウイーク明けからプレリワークを受け、短期間でのリワーク活動に参加することに不安を抱きながらも担当の先生や岡本先生からの親身になってのCRESSについての内容の説明を受け、リワークに対する不安が期待へと変わり、一日も早くCRESSに参加したいと思えるようになりました。この時の私は直ぐに復職をしないとダメだと焦り、まだ自分自身をよく理解出来ていなかったと今は思います。

6月より正式に参加させて頂き、最初の2週間は慣らし期間からのスタートでしたが、取り組んだプログラム内容の一部において、衝撃的な感情を抱き、言葉を失いました。恐怖と嫌悪感、そしてプログラムに対する怒り。
私はこのプログラムの趣旨を理解出来なかったのです。何でこんな事をしているのか?あり得ないとしか考えが及ばなかった。

私はここCRESSに参加している方々と人間的な付き合い方をしたく、これからの長い人生の相談相手として人間関係の形成を一番に思い、一期一会を大事にしたかった、またメンバーの方々の考え方を学び今後の自分に活かせていこうと考えていた事からも違和感でしかなかった。
しかし、その考えは、私よりも年齢が半分も年下である若いメンバーの方々の考え方を聞いて間違っている事に気づかされました。自分はここに人間形成をしに来ているのではない、自分に気付きを得るために来ているんです。と、この言葉に愕然とし、同時に私自身が気付きを得た瞬間でした。
翌日より先ずは自身の振り返りをし、何か気付きがないかを考えていく訓練をしました。日々のプログラムの中からも何かないかと考えるようにしました。その中でもコラム法が自分自身一番分かり易いかと思っていました、が担当の先生より指摘も多く受けました。そしてこの自分のやり方が受動的であり、あなた自身が見えてこないとも指摘をメンバーの方々から厳しい意見も受けました。
参加して3ヶ月後に卒業が決まり、受けていないプログラムも沢山あり、現メンバーの方々より先に卒業する自分が、今の自分の振り返りの考え方が偏った考え方をしていないか不安を覚え、このまま卒業することが怖くなりました。先生や若手メンバーの方々にそのことを伝えたところ、その気づきが大事なんです、とまた教えられました。
やはりまだまだ勉強不足と実感させられました。

しかし時間は容赦なく過ぎ、卒業式を迎えました。
その卒業式にメンバーの方々から頂いた言葉、応援しているからねという何気ない言葉が自分自身に強く響き、心強くなり清々しい気持ちで卒業出来ました。
そして、ここまで自分自身が成長できたのも先生方の熱心な指導とメンバーの方々の心優しく時には厳しい言葉があったからこそだと思います。

CRESSに参加出来たことを心から感謝し、先生方とメンバーの皆に感謝します。
ありがとう!

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U.H.さん(リワーク在籍期間:236日)

『変わりたかった私と変わった私』

休職に至った時に、本当に今までの積み重ねで折れたなと思いました。
そこからリワークというプログラムを主治医の先生に薦められたのが参加するキッカケでした。最初は復職に向けてどんな事をするんだろうとわくわくしていました。そんな気持ちは最初の1-2回程であとは辛いな、苦しいな、何で?何で?と戸惑う事が多い日々でした。
泣いた数は本当に覚えていない位です。

そんな日々が続き、そうして気が付いたら泣く回数も減って自分の特性や相手の話を聞かない、そして相手に求める傲慢さ等が少しずつ自分の中で落ち着いて認識できる様になってきました。
担当の先生にも何度も何度も注意されて落ち込んだりへこんだり、その中でリワークのメンバーに助けられた事が多く時には笑って、時には一緒に泣いて、時にはぶつかったりして、大人になってこんな体験ができるなんて思いもしなかったです。

そして担当の先生はじめスタッフの先生達にはとても感謝をしております。
特に担当の先生には泣かされた事もあれば、本当に優しく寄り添って私自身の事を一緒に考えて下さった先生です。
今の私は担当の先生無しではありえないと思います。
それだけ、先生との時間は私にとってかけがえのないものです。

リワークを卒業して、これからの自分がどうなっていくかわかりませんが、今までの体験と先生やメンバーとの思い出を携えて前に進んでいこうと思います。本当にありがとうございました。

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I.R.さん(リワーク在籍期間:297日)

『リワークで受け取った大切なもの』

実はリワークを離れることに、不安やさみしさがあり、なかなかこの文集を書く手がすすみませんでした。しかし、リワークで大切なものを受け取ったからこそ、このまま復職に向かって進んでいきたいと思います。

リワークに参加した当初は3ヶ月程度の在籍を予想していましたが、結果的にはおおよそ10ヶ月間リワークでお世話になっていました。この10ヶ月間を振り返ると今まで生きてきた時間の中で最も濃かった時間だったと感じます。
関わってくださった先生やメンバーの皆様、本当にありがとうございました。
皆様とのかかわりの中ですごく大切なものを受け取った気がしています。

リワークに参加する前は、私は人とのコミュニケーションにいつもどこか怖さを感じていました。そのため、無意識で人と合わせる行動をとったり、自分が思っていることを言わずに我慢する、ネガティヴな感情を認識せずに流して、心にモヤモヤがたまることをしていました。
また、誰かに嫌なことを言われても「自分が悪いから言われるんだ」と納得させたり、攻撃されないように無意識に相手より下の立場にたってコミュニケーションをする。
また、先生やメンバーさんとのかかわりの中で、自分を責めることで、人との対立やコミュニケーションを避けていることがわかりました。
他にもまだまだありますが、それらが自分の休職前のつらさにつながっていたのだなと思います。

リワークにいる中で、いくつもの自身の課題が見え、途方にくれたりつらい時もあったけれど、先生やメンバーさんに支えていただき、その課題に向けてどうすればいいかを考えて10ヶ月間を過ごしました。リワークに入った当初は、自分がグループ作業のリーダーを自分の意志で立候補して経験するなんて思いもしていなかったです。 この変化は、私の弱さを否定することなく、しっかりと向き合ってくれた先生やメンバーさんのおかげだと思います。コミュニケーションに怖さを感じていた私にとって、リ ワークでの体験を通して、コミュニケーションによって得られる「何か大切なもの」や「つながり」を感じたり、受け取ることができた体験は、ものすごく大きなものでした。
それは、復職に向かうエネルギーにもなったし、リワークを離れても「心の中でなにかつながっているから、きっと大丈夫だ」という不思議な安心感や自信にもなりました。

ここまで、リワークでの気づきをたくさん書きましたが、まだまだなうまくいかないことも多く、未熟な部分もあります。
今後、時には不安や恐怖自責感情に飲み込まれたりするときも出てくると思います。
以前は飲み込まれるだけでしたが、今はそれと同時に「怖いけど人とコミュニケーションをしてみたい」「これからいろいろな体験を積みたい」「たくさんリワークで体験したのだから、つらさを乗り越えられる自分になりたい」「相手に自分の気持ちを伝えられるようになりたい」と思える自分が出てきています。前者だけに目を向けるのではなく、後者の自分も大切にして、復職はもちろん、今後の人生を生きていきたいと思います。

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T.Y.さん(リワーク在籍期間:200日)

『リワークでの実り』

休職する2、3ヶ月前から「今年度末に退職して転職しよう」と心に決めていた。社風や業務量の多さ、社内外での人間関係等で心が疲弊していると感じていたからだ。しかし自分の心身が持たず、その年の11月末に会社に行けなくなってしまった。
最初の1ヶ月はただただゆっくり過ごし、その後休職期間中に転職活動を始めようとした。しかし求人票を見るだけで吐き気がした。転職すれば外的な要因は解決できるが、自分の内面的な要因が解決されない限りまた同じことを繰り返し、休職してしまうのではないかという不安が大きかったのである。そうした流れで担当医からの薦めもあり、CRESSに参加することにした。

リワーク初期は毎日のプログラムに参加することに必死だった。少しずつ通うことに慣れていき、他のメンバーとたわいもない雑談ができるようになった。久しぶりに家族以外の他人とコミュニケーションをとり、レクリエーション等を一緒に楽しむ中で、人と関わることで得られる楽しさや喜びを思い出すことができた。長い間、他人との関わりが怖いものとして感じられていたため、リワークを通して、人と交流する喜びを思い出せたことは自分の中でとても大きな収穫である。

リワーク中期においてはグループ作業の班長を務めたことで、より自分自身やリワークのメンバーと向き合うことになった。もともと人に頼れず抱え込んでしまうところがあったが、そういった休職前の状況がリワークでも再現され、苦しい体験になった。当時、班長だった自分を心配して他のメンバーがかけてくれた声が、自分を責めているように感じられた。それによってメンバーと衝突することもあった。やっぱり他人と根底では分かり合えないのだと強く思った。それでも担当心理士と相談しつつ、メンバーとのコミュニケーションを図った。他人と完全にわかりあうことはできない、という考えは変わらなかったが、コミュニケーションをとって歩み寄ることで、自分が思い込みに囚われていると気づける体験になった。

リワーク後期において、初めてSSTの主人公にチャレンジした。そこでは「自分が正しいということにしがみついていて他人の意見を受け入れにくくなっている」というフィードバックを受けた。このフィードバック自体、私にはかなり受け入れ難いものだった。
「他人の意見に正当性や根拠が見受けられれば私だって受け入れるのに。そもそも根拠なしに他人の意見をホイホイ受け入れる方が思考停止になっていて問題ではないか。」と強く反発する気持ちがあった。そういった自分の考えを他のメンバーに話したりもした。

「言っていることはわかるけど、グループ作業で班長をしていた時の〇〇さんが辛そうだったのは、そこも関係していると思うよ」と言われ、少し立ち止まって考えることができた。フィードバックの内容をやっと受け入れられてからは、実生活の中でその自分の特性が無意識のうちに出ていたことに気づくようにもなった。自分の思い通りにならないことに対して苛立ち、攻撃性を出してしまう自分がいるとは、休職前は思いもしなかった。

長い文章になってしまったが、リワークを通して自分とも他人とも向き合い、様々なことに思いを馳せることができた。他人との関わりの中で思いもよらなかった気づきを多く得ることができた。辛くも楽しくもある有意義な半年間だったと思う。この経験を糧にして今後の職場でも無理せずゆっくりやっていきたい。

~おわりに~
CRESSのスタッフの先生方、メンバーの皆さん、貴重な経験をさせていただき、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

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I.R.さん(リワーク在籍期間:212日)

『1年後の自分へ』

0. はじめに

CRESSでの体験を振り返るにあたり、休職そのものが私の中で重要な体験でした。休職への思いや自分という人間に対する見方の変化を、この卒業文集で振り返りたいと思います。この文章が冊子となって私の元に届く1年後を想定し、1年後の自分がCRESSでの体験を改めて思い出せるように、1年後の自分へというタイトルとしました。それでは内容に入りたいと思います。

1. 休職という体験について

私は休職する人は、自分の人生から逃げている人だ、と思っていました。
私は社会人10年目ですが、学生生活でも今までの社会人生活でも自分の置かれている環境から逃げるという行為はしたことが無く、自分の人生の中で許されない行為でした。そんな私が2023年12月頃から会社に行けなくなるという事態が起こりました。主な要因は上司からのパワハラでした。私は元々自分の意見を上司であろうが同僚であろうが発言できるタイプの人間だと思っていました。2年ほど前から上司が変わり、その上司とのコミュニケーションが上手くいかず、自分の発言を封じられる又は無視されることが増え、次第に元上司との恋愛にまつわる噂話をされ、悪口を言われ、業務とは関係のないことで自分の職場でのコミュニティを侵害されていきました。休日も気持ちがふさぎ込んでしまいこのままではダメだ、と思い心療内科へ受診し、「適応障害」と診断を受け、職場へ職場環境改善を依頼しました。そんな中、身体的な症状として「めまい」が現れ、朝起きることができなくなり、耳鼻咽喉科へ受診し、メニエール病・良性発作性頭位めまい症を罹患していることがわかりました。
2024年1月、暗い気持ちで新年を迎えました。毎日毎日、起きても絶望しかなく泣くことしかできませんでした。それでも私は会社に行かないと、と使命のようにめまいのする中、吐き気をこらえ電車に乗り、出社していました。休んだらまた上司から悪口を言われる、出社して少しでも仕事の成果を挙げないと、その当時の私の頭の中はそんなことしか考えられませんでした。そんな状況で質の高い仕事などできるはずもなく、もうPCの前で何も考えられない自分が居ました。
その中で、元上司に状況を相談すると、「一回休んでまずは体調を直したほうがいいよ。」と言われ、そこから、まずは2ヶ月休職するという選択をしました。

2. CRESSを選択した理由

休職して1ヶ月程が経過し、さらに上の上司から「体調が良くなったら、薬を使わずに治療ができるような施設で自分と向き合ってみてはどうか?」と打診を受けました。私は、なぜパワハラ被害者が自分を内省しなければならないのか?とその上司からの提案に憤りすら感じました。ただ、心のどこかで、私は今回の休職をパワハラのせいにしているな、それって他者からはどう見えるのだろうと考えました。めまいの症状も落ち着き始めていたので、まずは世の中に上司の言ったような施設が存在するのか、調べることから始めました。世の中には「リワーク」という休職者が社会復帰を目指す場所があることを知りました。私は物事を決める前に徹底的に調査をしないと前に進めないタイプなので、1週間ほど調査し、厳選した6つの施設に体験入学やカウンセリングの申し込みを行いました。そのうちの1つがCRESSでした。様々な施設を見る中で、私は自分がなぜ休職に至ったのか真因を突き詰めたいという気持ちが出てきました。その条件を叶えてくれる施設はCRESSしかありませんでした。

3. CRESSでの体験

CRESSに入所し、まず1番初めに経験した大きな体験はグループセラピーでした。入所し1、2ヶ月経過した頃だったと思います。あるメンバーさんがグループ作業で役職をされていたのですが役職を降りるという事態が発生しました。私は役職を降りるということは「逃げ」だと思い、“全員に謝罪があるはず”と思っていました。様々な事情から謝罪はなく、グループセラピーを迎えました。他のメンバーさんが、そのメンバーさんに「真剣さが感じられない」と本音を伝えられました。私もその「真剣さが感じられない」に同意し、「謝罪するべきではないか?」と自分の思いを伝えました。そんな中、別のメンバーさんが私に対して「自分の中でのあるべき論を相手に押し付けるな」と言われました。その時に初めて私のあるべき姿は他者のあるべき姿ではないのだなと知りました。大きな衝撃で、治りかけていたメニエール病が悪化した程です。
このことから、私は少しずつですが他者から見えている自分を知りたい、と心から思えるようになりました。他者から見た自分を知っていくことはCRESSではたくさんチャンスがあります。例えば、グループセラピーやSST、グループ作業などです。これらのプログラムを通じて、自分を知る作業を始めました。他者から見た自分を知るというのはすごく怖い作業です。今まで“自分の都合の良いところ”しか見てこなかった自分が居たことにも気が付きました。
CRESSに入所して3、4ヶ月経過した頃、私はすごく仲の良かったメンバーさんにグループセラピーで「こわい」と伝えました。すごく仲の良いメンバーさんに本音を伝えるのはすごく勇気のいる体験でした。でも、治療の場だからと本音を伝えました。でもその本音がそのメンバーさんとの仲に亀裂を生むこととなりました。
私は自分の発言は正しいと思っていました。今思えば、この体験はパワハラ被害を受けた自分の正当性を示そうとする行為と同じだなと思います。ただ、職場での体験と違ったのは、そのメンバーさんが、プライベートで落ち込んでいた私に声を掛けてくれるという体験でした。その後、お互いが今までどう感じていたのか話をすることができました。この経験が無ければ私の休職はパワハラという他者へ責任を押し付けていたままであったかもしれません。他者から見た自分を知る度に、自分の視野はかなり狭いな、と気が付きました。
上記以外にも、様々な体験をしました。CRESSでの体験は苦しみや悲しみ、苛立ちが主に占めていたように思います。でも、苦しみや悲しみ、苛立ちに出会う度にCRESSのメンバーと話し合い、一緒に考えてもらいながら1歩ずつ前に進むことができました。決して1人で抱え込むことはせず、時にはメンバーと意見を交わしながらお互いを受け入れることはできなくても、メンバーとのコミュニケーションを大事に前に進みました。

4. 復職に向けて

今この文集を書いている時点で、どのような形で復職するのか決まっていません。見通しの立たない状況(グレーな状況)は私にとって非常に苦しい状況です。
ですが、CRESSで得た、「見通しの立たない状況でも体調管理を行い、生活リズムを崩さずに持ちこたえられるようにする。困難な状況を持ちこたえるためには、困った時や行き詰った時ほど、自分一人で抱え込まず周りに相談する。」ということを実践しながら、少しずつ復職のステップを踏んでいきたいと思っています。

5. 1年後の自分へ

7.5時間睡眠は継続出来ていますか?
困った時は周りに相談できていますか?
アフターリワークには通えていますか?
もし、CRESS通所時に掲げていた3つの生活目標に×が付き始めたら、上記のことを思い出して下さい。それでも×が継続して付く場合は、緑のファイルを開いて1つずつ思い出してください。今の状況やもっと言うと人生は自分の見方次第で変わります。いかなることにも失敗を恐れず、転んだり行き詰ったら、チャンスだと思って立ち止まったり、前に進むことを選択できる自分がいればいいなと思っています。

6. 最後に

CRESSではたくさんのメンバーさんの力を借りて前に進むことができました。そして、時には厳しく、時には優しく寄り添ってくださった担当の先生には感謝してもしきれません。メンバーさん、担当の先生、その他のスタッフの皆様に感謝の意を込めて卒業文集を締めくくりたいと思います。今までありがとうございました。
そしてこれからもアフターリワークで宜しくお願い致します。

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T.H.さん(リワーク在籍期間:219日)

『リワークを通じた今とこれから』

リワークに参加して感じたことや変わったこと、そして復職してからのことについて記そうと思う。

リワークを通じて感じたこと、変わったこと

リワークを通じて感じたことは、考え方が変わったというところにある。
リワーク参加前は、休職の原因は人員削減や組織改編による業務量の変更や増加などの外的要因だけだと考えていたが、リワーク参加後は、自分の考えやコミュニケーションの仕方に原因があったのではないかと考えられるようになった。
振り返ると、誰かに相談したり頼ったり、悩み事を話すといったことが全くできていなかったことに気付けた。なぜそれができなかったのかといえば、弱い自分を見せられないと思い、取り繕っていたからだ。
正直に言えば、まだ取り繕っている自分はいる。しかし、当初の上っ面だけの自分に比べれば、いろいろと悩みを話したり感じたことを表に出したりできるようになってきているので、リワークでの経験を生かして、今後も引き続き頑張っていこうと思う。

復職してからのこと

復職してから目指すことは、再休職しないために、リワークで学んだことを生かしてコミュニケーションを取っていくことと考えている。考えたり悩んだりした時に相談できるような人間関係を築くことが目標である。

リワークへの参加を考えている人へ

ハッキリ申し上げると、リワークはしんどい。なぜなら、自分の内面に向き合い、他のメンバーにそれを曝け出すことになるからだ。だが、これは復職と再休職の予防のためには必要なことであると、自分は7ヶ月在籍することで実感した。自分を見つめ、変わっていきたいと考えているならば、ぜひ参加していただきたい。

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M.T.さん(リワーク在籍期間:298日)

卒業文集

私は2023年の9月から休職し、2024年11月に復職することができました。

当初、リワークに参加したいと思ったことは一度もありませんでした。
リワークに参加しようと思ったきっかけは親に無理矢理連れて行かれたからです。
本当に行きたくなかったです。

まだ若いのに休職してしまったこと、仕事がまったくできないこと、他者とコミュニケーションをすることが全然できていないことを認めたくありませんでした。
復職することやリワークに対してのモチベーションが全くなく、リワーク代と交通費を父親から毎月2万円援助してくれるという形で参加することもあって、初めの頃は、現在振り返ってみて、本当に周りの方々には申し訳ないことをしてしまったと思っています。

1日目から無断欠勤、締め切りまでに提出物を出さない、周囲にどう思われているとかどうでもいいと思って言いたい放題、やりたい放題振舞ったこと。
今後、卒業生の方々と交流できる機会があれば、1分1秒でも早く謝りたいと心から現在は思っています。
なぜ自分がこのような問題発言、問題行動を今まで繰り返してきたのか、休職した当時は考える機会を全く作ろうと試みていませんでした。
学生時代に家庭のことで起こっていた問題、学生時代にイジメを受けていたこと、自分が軽度だが、発達障がいを患っていたこと。
様々な問題について向き合うのが怖くて、たとえ向き合っても、どうすることもできない。自分から相手にコミュニケーションをしても何一つ状況なんて変わらないって、相手を信頼できなくて、無力感を感じ、自分の殻に閉じこもっていました。

そんなときにふと二重整形してみたことをきっかけにアルバイトにはこれまではどこへ行っても不採用だったのに採用され、公務員試験に合格したことで、周りからチヤホヤされ、自分の抱えている問題と向き合うことを行いませんでした。
自分の本当に困っていること、自分自身の本心を相手に伝えることが全くできませんでした。
仕事をするうえでそのような問題があったことが、自分が仕事を休職してしまった原因の1つの要因だったと現在思っています。
そんな過去のこと、自分の抱えている様々な問題を、リワークを通じてようやく知り、向き合うきっかけを与えてくれました。

リワークを通じて心が動いた瞬間はたくさんありました。

1つ目は4月上旬にグループセラピーのプログラムに参加した際のときです。
その頃、担当の先生の職場に提出する際に作成するリワーク報告書の内容を確認したとき、自分が未熟な子供のままだという指摘を受け、ようやくこのままの自分ではいけないと危機感を持ち始めていました。
しかし、その一方、なんで自分ばかり他のリワークのメンバーからの強烈なフィードバックを受けなければいけないのか。他のリワークメンバーには忖度して、自分ばかり攻 撃されていることに対して、とても不満を感じていました。
その結果、一人のリワークメンバーの人格を否定するようなことを発言し、その発言をきっかけに、自分を擁護してくれた方々、自分に激怒した方々が衝突しあい、リワークメンバーの方々を巻き込んでしまったことに対して、罪悪感でいっぱいになり、本当に久しぶりに人前で号泣してしまいました。
その時、人ってやっぱり変わることができないのではないかって思い、自分と向き合わず、さっさと復職したいと思って、リワークを中断してしまいました。
その時、父親がこのことについて介入し、クリニックに乱入してしまい、自分を早く復職してくれるように強く求めていました。
和田先生と担当の先生からは当然そのようなことをすることはできないという意見を聞き、父親は私にリワークを辞めて、別の病院に転院することを提案しました。
その時、自分の一度しかない自分の人生をこのままでは充実させることは絶対にできない、自分は何とかして変わらないといけないって思い、リワークを再開することを決断しました。
その時初めて、リワークを通じて、もっともっと自分自身の内面を成長させたいって思うことができました。

2つ目はグループ作業の役職に立候補した際のことです。
一部のリワークメンバーからは自分が役職に就く際に反対の声を上げていました。
応援したいけど、自分がリワークの開始ギリギリにいつも来ていること、リワークメンバーとは雑談中心で、深い関係性を築けていないこと、デリカシーがない発言をするこ と、出席率が高くないことについて不満があるということ。
自分の心が傷ついた瞬間ではありましたが、そのことをちゃんと受け止めようとしている自分がいて、自分の問題点を直したい、相手の思いに応えたいという気持ちが芽生え始めました。
リワーク参加当初に、そのような感情を抱いたことは一度もありませんでした。

3つ目はSSTの主人公をした際のことです。
その時に自分がコミュニケーションを行うときに問題となっているのは自分を取り繕おうとしていること、1つ1つの仕事に対する解像度が低いこと、自分の意見と相手の意見や価値観、考え方が異なったとき、それらをぶつけ合うことが怖くて回避ばかりしていること、肝心な自分の本心は全く言うことができていないということに気づかされました。
とてもショックを受けましたが、今後の人生をより良くしてくれるきっかけを与えてくれたことに感謝しています。
担当の先生からはリワークを通じて、自分は今後ももっともっと成長していかなければならないということ、ようやく自分はスタートラインに立つことできたということを仰っていました。

私はリワークにおよそ10ヶ月通うことをきっかけに自分の性格や特性、抱えている問題点の解像度を上げることができました。そして自分の本心を怖いけど相手に伝えるということ、自分一人で引きこもってばかりしないで、周りの方々を信頼して、力を借りながら努力することの大切さを学ぶことができました。
リワークに参加することに対して、なんでそんな遠回りをわざわざしないといけないのだろうか、自分の人生は完全に終わったのに今更そんなことしても意味がないとか、そんなネガティブなことばかり初めは感じていましたが、本当に自分にとっては人生の一つの大きなターニングポイントになりました。

ここまで支えてくれた家族や恋人、和田先生や担当の先生を始め心理士の先生方、そしてリワークメンバーには自分が成長するきっかけを与えてくれたことに対して、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
まだまだ課題は山積みですが、今後も沢山の苦難を乗り越えて、自分自身が成長することによって、口だけではなくて行動でも恩返しをしていきたいです。
本当にありがとうございました。

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I.A.さん(リワーク在籍期間:270日)

『復職、卒業が決まった今思うこと』

「あーっ!やーーーっとだー!」復職と卒業が決まったとき、心の中でそう叫んでいました。長く、苦しいリワークでした。

リワーク開始当初は「復職?あの怖いところに戻ってまた働くなんて無理。」と思うと同時に早く復職しなければいけない、という焦りもありました。そんななか、プログラムがすすみ、辛い体験を乗り越えるたびに新しい気づきがあり、自分を知ることができました。そして、課題に取り組み、体験を重ねることで、復職後の自分の思考や行動の変化を想像できるようになり、復職への恐怖感が少しずつ払拭されていきました。

さらに、その気づきのなかで、自分の思考や感情の癖が固く絡まっていることを知ったときは相当な衝撃を受けました。それを知れたのは、プログラムをとおして、先生方のご支援やメンバーとの濃いコミュニケーションが毎日あったからだと思います。固く絡まった自分の思考や感情の癖が少しずつ解かれていく感覚は本当に不思議なものでした。

そして、復職決定の2~3ヶ月前から会社と関りをもち、対話を続けることにより、またあの場所で仕事がしたい、という気持ちが大きくなっていきました。それまでは、心理士の先生に、「まだ復職は無理」と何度も言われました。その時は、ショックを受けると同時に、「まだ戻らなくてもいいんだ」と、ホッとしてしまう自分がいました。しかし今回、「無理」と言われなかったときは、「やっと戻れるんだ」と、ホッとしました。

私は、よく泣き、よく悩み、よく考え、よく落ち込み、よく見て、よく話して、自分なりに葛藤し、思いっきり頑張りました。復職後も辛いことや苦手な場面に直面することはあると思いますが、私は休職前と同じ思考と行動はしないでしょう。リワークでたくさん体験させていただけましたから。今度は、あの時とは違う、リワークで培った“癖”と一緒に、あの場所へ戻っていきたいと思います。

最後に、すべての先生、私に関わってくれたメンバーの皆様、ありがとうございました。心より感謝いたします。

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I.K.さん(リワーク在籍期間:152日)

『休職を体験して』

私は休職してから3ヶ月程度外出もできない状況が続き、やっとの思いで心療内科を受診し体調を整えることから始まります。
体調の回復とともに外出できるようになり、読書したりと少しずつやりたいことが芽生えてきました。職場を離れ自宅で生活する毎日、社会との繋がりが遮断された日々はとても辛く耐えがたいものであったと振り返ります。
それが少しずつ気力の回復とともに和らいでいき、社会との繋がりを持ち始めたところ、職場の復職担当からはまだ回復が見込めないので、生活習慣を作っていくことに専念するよう指摘され自己訓練がスタートします。CRESSで記入している生活記録表に記入するものと相違ありません。1、2ヶ月間の取組みを経て初めての産業医・保健師面談で復職が許可されるものと思っていたが、復職不可の厳しい判断がなされます。
この時、リワークプログラムを活用してもう一度復職準備をするように宣告され、絶望や失望感が大きく途方に暮れました。一方で、これがチャンスであると捉え直し、どんなリワークがよいのか、詳細に調べいろいろ迷いながらCRESSに問い合わせ、再スタートしました。

CRESSに参加してまず感じたことは、メンバーが他人にとても関心を持っていること、よく他人を見ていることを強く感じました。こんなにも観察できるものなのだろうかと通い始めて2ヶ月くらいずっと考えていました。
この視線に強い圧迫感や同調圧のように全く感じずに過ごしていると、自分自身がメンバーに全く関心や興味がなく、自分の殻にこもって、安心しているだけではないかと考えこむ日々が続きます。メンバーに話をする怖さといった感情もなく、どのように思われるのかという不安もなくコミュニケーションを取っているうちに気づきを感じ取れるようになったのです。メンバーと感情の共感することに距離があったり、ズレを感じたりすることが多く体験していくのです。自分自身の感情の尺度があいまいな上に、他人の尺度をコミュニケーションのなかから読み取り、感情を重ねていくことに大きな課題を感じたのです。特にあいまいな感情を理解することに苦労しました。
プログラムを通してメンバーとの同質性や違和感を感じては答えを見いだせず、悩み、また考え直しの繰り返し…。いつまで経っても答えが出せず、悶々とした時間だけが過ぎていきました。担当の先生との個別面談で、リワークで感じていること、違和感を話したことをきっかけに自分の特性がぼんやりとわかってきました。学生時代の気になっていたこと、就職してからの違和感、そしてリワークで実感した気づきがつながってきました。
このような体験は一人では絶対にできず、絶えず他のメンバーやスタッフがいるリワークならではのものであったと強く言えます。

復職に向けて必要であろう要素もたくさん学ぶことができたと感じています。また、休職に至った要因についても多角的に検討できたと思います。CRESSを卒業するにあたり、この文集を書き記している最中で復職への不安を抱えている状態でありますが、「自分を大切にする」ことを強く胸に秘め、やれる範囲で努力していこうと思います。

5ヶ月間、私のことを一緒に、真剣に考えてくださったメンバーさん、スタッフの先生方に大変お世話になり数多くの感謝をこめて御礼申しあげます。本当にありがとうございました。

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T.K.さん(リワーク在籍期間:184日)

『課題と向き合う日々』

私のリワークCRESSでの日々は自身の課題と向き合い続ける日々であったなと思っています。私は会社・産業医の勧めによりリワークCRESSの門を叩きました。リワークへの参加は自発的なものではなかったため、参加当初は最短で復職したい、早く復職しなければという思いばかりが先行していました。しかし2ヶ月ぐらいが経ったときあたりからどうもプログラムをただこなしているだけの感覚に陥り、再発予防のためになっていないのではないかと思うようになりました。そこで自分を変えるためにSSTの主人公に立候補しました。今思えばここが私のリワークの本当の意味でのスタートだったと思っています。

フィードバックではメンバー・スタッフさんから「私たちと本当に仕事をする気があるのか」「壁打ちのようなコミュニケーション」「自分を守りに入っている」などいろんな言葉を頂きました。また、SST終了後のコミュニケーションも非常に助けとなり、フィードバックの詳細やそれに対するアドバイスなども受けることができました。そのおかげで「自己中心的なコミュニケーション」「他人依存」「自分にかなり防御的」といった課題に明確に気づくことができました。そこから今まで自分に課題意識がないまま取り組んでいたリワーク初期とはリワークが全く違う場に変化しました。課題を意識してグループ作業の班長を行ったり、普段のプログラムを受けたりする時間は苦しくもありましたが少しずつ成長を実感できる時間となりました。

他にもグループ作業での体験や各プログラム内でのコミュニケーションは私に沢山の気づきと発見を生みだして頂いたと思っています。特にグループ作業での体験は職場に戻る自信を養ってくれたと思っています。グループ作業では前述の通り班長に立候補しました。理由は指示待ち人間な自分を変えたかったこと、何かを仕切って決めることが苦手だったためです。活動内ではそれぞれ強い思いを持つメンバーに囲まれ、活発に意見が出る中でパニックに陥りました。そんな状況を変えたのはメンバーとのコミュニケーションでした。副班長・メンバーに相談する中で、自分が何かを決めないといけない、まとめないといけないといった理想の班長像にこだわりすぎている事、それに伴ってメンバーに自分の困り感を伝えることが出来ていない事に気づきました。そしてそれからは自分の困っていることを伝える事、固定概念に囚われないことを意識して班活動を進めることができました。紆余曲折ありながら完成した成果物を見た時には大変嬉しかったのを覚えています。また、ここで得た困っていることを素直に伝える事、自分の固定概念に囚われすぎないことは職場に戻っても続けていきたいと思っています。

挙げた課題が克服できたかと言われると完全ではありませんが、課題の状態になっていることに気づき、行動を変えることが出来るようになっていると自負しています。これは自分一人で休職していたならば全くできなかったことだろうと思っています。

最後にメンバーの皆さん、担当の先生、スタッフさんに心より御礼申し上げます。ここで得た体験や意識を職場に行っても忘れずに過ごしていきたいと思っています。本当にありがとうございました。

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C.T.さん(リワーク在籍期間:124日)

『辛いと思っても良いという事』

2022年頃から職場が今の管理者の体制になり徐々に現場に対しての的外れな業務運営がなされ現場と管理者の溝がどんどん開いていきました。

当初は社員が話し合いをするよう現場より努力をしてきましたが上手くいかず… だんだんパワーハラスメント事例が起こるようになってきました。
私も体調を見ながら各所に相談していましたが改善には全く至らず自身の体調も悪くなっていきました。
数回病休でひと月ほど休むという体調になってしまいました。

そして今年4月、復職した直後にわかりやすいパワーハラスメントが私を直撃しました。
私はその相手に直接上司に罵詈雑言を浴びせましたがダウンしてしまいました。
ダウンしても筋が通らない事が死ぬほど嫌な私は各関係機関を使い体調絶不調な時に司法に訴えました。
今考えると労働局や弁護士などは協力してくれましたがたった1人で戦っていました。

そんな中産業医にリワークに行きなさいと言われ主治医と相談しここクレスにやって来ました。
同時期に裁判所に呼ばれ司法判断としての結果は裁判官が「お金がかかるので訴えを取り下げた方が良いよ」でした。
リワークに通い始めた時 精神的には悲しさと無念 傷だらけで自身の無数の屍を踏みつけ血まみれの状況でした。

そんな時冷静にリワークに取り組めるはずがありません。
しかし、担当の先生の粘り強い対話で時には私が更に精神的に血だらけになりましたが(笑) 徐々に自身の状況を判断できるようになりました。
そこからホントは生活を送る上で辛い出来事 辛い職場での状況 辛い以前の家庭環境など全ての辛い事を感じるのが許されない状況を踏み殺して生きている事に気づかせていただきました。
大変ショックでしたが、なぜ体調が悪くなるかというメカニズムを少しづつ理解していくきっかけになりました。
大変な経験をした時「辛いなぁ」「助けてほしいなぁ」と思って良いというのは自分にとってものすごく大きな事でした。

今は自身の体調を見ながら冷静に対応出来るように変わってきました。
同じ環境や事実が違う視点で捉えられるようになり今後の行動の指針に選択肢が増えた気がしています。

ここクレスにいるメンバーの方々 スタッフの皆さん。
私は感謝しかありません。
今後は自分に少し優しく精進する所存であります。
ありがとうございました。
合掌。

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F.M.さん(リワーク在籍期間:85日)

『リワーク期間を振り返って』

会社からの紹介で病院を知り、社会復帰の第一歩と思いリワークプログラムに参加しました。私は休職に至った明確な理由が分からず気づけば体が動かなくなり会社にも行けなくなりました。そのため平日5日間、体が動けるようになっているかを確認することが出来ればと思い参加しました。

参加すればするほどリワークに出席さえすれば良いということではないと言うことが明らかになってきました。特にグループセラピーではプラスな感情もマイナスな感情もすべて伝えて感情をぶつけあう体験に心がざわつきました。このように心がざわつく経験は初めてのことで戸惑いを覚えました。
認知療法やアサーションの講義を受けて私にはべき思考や白黒思考が強いこと、そして相手と対等なコミュニケーションを取ろうとせずに相手の下手に出て意思疎通をはかろうとしようとしていることが分かってきました。

復職を焦っていたためリワーク参加当初から会社と定期的に面談を実施していました。

リワークに参加して1ヶ月ぐらい経ち、色々自分の課題や休職になった原因が自分の中でなんとなく分かってきたこともあり復職の準備を進めようと思い始めました。もう私は大丈夫だと強く思い始めた時期でした。
ところが、その時期の個人面談の時に先生から「会社との面談の報告を一方的に受けているだけで私を頼る気持ちを感じません。私のことを頼る気持ちがありますか?私のことを復職を阻止する人だと思い込んでいませんか?」と言われ心が激しく動揺しました。そして、私は人に対して頼ったり、感情を預けたりした経験がほとんどなかったことを思い出しました。そして休職に至る過程においてもそれがきっかけとなり自分の殻に閉じこもって課題解決を行おうとして自分を苦しめていたことがあったことに気づかされました。
また人に遠慮をしながら自分の意見を伝えがちであり、自分の軸がなく人に振り回されていたことが分かりました。そこから少しずつ今までの自分を振り返ることを始めました。振り返る中で過去の自分が苦しんでいたことを認めてあげることが出来ました。先生と個別面談を繰り返すうちにたくさんの課題や気づきを得ました。

また、プログラムにおいても年齢が一番若い私には発言する権利がないと自分をラベリングしてしまいなかなか意見を言えない時もたくさんありました。とても苦しい経験が続きました。それでも自分を変えるために少しずつ努力しました。
メンバーの方には私が相手に対して感情を預けるという体験をたくさんさせていただきました。今まで相手の言動の裏を読み続けてきた私にとって人から心配され、否定的な意見をもらっても素直に受け入れることが出来ませんでした。
それはこの人は心配しているのではなく自分の意見を押しつけてきているだけであると思い込んでいたからです。プログラムや日々の会話を通してメンバーの方にはこのような私を受け入れて本気で心配してくれていると言葉や行動で伝えてくれました。そして相手から話を振ってもらうだけではなく自分からも話をするようになりました。
次第に私も相手に一歩踏み込んだ感情を伝えることによって相手の感情も素直に受け取ることが出来るようになりました。休職のことや復職のことに関して不安な気持ちを話しながら泣いていた私を受け入れてもらった経験は私にとって貴重なことでした。

リワークに通いこれほど集団の存在に助けられると思っていませんでした。3ヶ月という短い期間で卒業することに、ほんとうに大丈夫なのか、再発したらどうしようという不安もあります。ですがこれからつらい経験があった際にリワークでの経験を思い出すことで自分を助けてあげることが出来るような気がしています。真剣に全力で私に向き合っていただいたスタッフの先生・メンバーの皆さんありがとうございました。

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S.H.さん(リワーク在籍期間:152日)

>『リワークを振り返ってみて』

~リワーク参加前~

休職して2年が経ってリワークに参加しました。休職当初はまだ働いていた感覚が強く残っていたためか、先生から「頭を休めるためにとにかく寝なさい」と言われていたものの、出勤に合わせた時間に目覚めて、日中起きたままで、遅くならない時間に寝るいつもの習慣が続いていました。日中はよく会社のことを考えていました。2ヶ月経過したころ突然、睡眠の異常が起こりました。日中の断続的な睡魔による仮眠、眠剤で寝つきはよいものの頻繁な中途覚醒、異常な早朝覚醒が起こり、生活リズムが一変しました。
毎回受診の度に薬を変更して身体に合うのを見つけ、生活リズムが整うのに長い時間がかかりました。一時は寝ることが怖く、薬に吐き気を起こす時期もありました。 ようやく生活リズムが整ってきた時期に、会社の保健師からリワークを勧められ、私自身も2年も人と接することなく復職することには不安もあったことから当クリニックのリワークの参加を決心しました。

~リワーク初日~

リワーク参加初日で入室した際、まずは人の多さに驚かされました。今の自分の状態の人が多いと少しの安心感がありました。ただメンバーの話し振りやしっかりとした発言力に圧倒され、自分の小ささに愕然としたことを覚えています。この時からメンバーと大きな距離感を感じ、自分の殻に閉じこもってしまいました。自分から話すことなく、話しかけられて話を返すだけの状態でした。当初からリワークは会社から言われたことで復職への免罪符としか考えておらず、少しして無理やり復職してしまえば良いとの軽い気持ちで参加していました。

~ターニングポイント~

塞ぎ込んだまま2ヶ月が経過して、メンバーも私に積極的に話しかけることなく、どう扱ってよいのか困っているのだろうなとの空気を感じ始めてきました。あと数日で産業医面談もあり、生活習慣だけはリワークでしっかりと確立していました。会社が求める復職のための生活習慣の条件はクリアーしていたので、もうこれで終わりにしようと思っていました。
産業医面談の2日前のプログラムで変わりました。普段からプログラムで自分から積極的に話始めることはなかったのですが、この日は以前からメンバーのセルフチェックが自分に甘い考えだと不満を持っていたので、そのことをあからさまに該当者に向けて発言しました。ただ嫌悪感を強くしたにもかかわらず、メンバーから困ったように「あなたを知りたい」と言われた際に自分の心の中で強い動きが起こりました。体中が熱くなり、ゆっくりと今までの辛かった体験を話しました。
家族からの嫌がらせからの孤独感、職場での管理職としての立場と力不足との葛藤。メンバーに話したくなかった辛く、恥ずかしいことを吐き出しました。
後日、産業医から復職の許可を受けましたが自分から延長の申し入れをしました。復職の許可の嬉しさは全くありませんでした。まだ何もリワークで向かい合っていない自分はまだ復職するに値しない。メンバーと向かい合わないといけないとの感情が上回っていたからです。この後から大きく自分が変わってきたと感じています。

~この後からの変化~

このプログラムで自身の体験の辛さ、恥ずかしさ、悩みのあらゆる感情を吐露したことにより、心の開放感を感じたのだと思います。今まで会社の仲間に同じことを語っていたことはありましたが、この体験は心の底から重い何かを吐き出した感覚でした。その後のプログラムから勇気を持てたのか、メンバーへ関わることへの抵抗感が一気に下がり、受け入れることが出来るようになってきました。
最近ではメンバーに対して言いたかった本音を話さなかったことを悔やむようになり、相手の発言に感じたときはしっかり受け止めてから、伝えるようになりました。また、自分が持っていた人生の燃え尽き感においても、メンバーと会話をしているうちにまだまだ自分は楽しいことをやっていない。自分の好きなこと、やってみたいことは胸を張ってやっていこうとする気持ちが芽生えてきました。
このリワークメンバーと過ごした時間で、自分が傷つかないように作り上げた壁が崩れていったのを感じています。「自分は自分。今の自分に今できることをやればよい」と教えてもらいました。こんな私を変えてくれたメンバーに感謝。サポートしてくれたスタッフの方々に感謝いたします。5ヶ月間ありがとうございました。

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S.Y.さん(リワーク在籍期間:212日)

『CRESSで得られたこと』

「こんなに無防備に過ごすことができる空間はあっただろうか?自分の気持ちを素直に現し、それを受け止めてもらえる・・・」私のCRESSへの印象は、初日から卒業まで変わりませんでした。

プログラムの全てに興味があった訳でもなく、自分に必要だと思えない気持ちも正直あった中での参加でした。
ある日、プログラムについてわからないことを年下のメンバーへ質問した際に「相談してくれてよかった」と言ってもらえたことから、私のCRESSでの過ごし方が大きく変わりました。メンバーと自由に会話できる休憩時間に、会社の人には言えないでいた愚痴や相談事を話すようになりました。同じような悩みを打ち明けてくれた人、一緒に腹を立ててくれた人、勇気がいる場面で背中を押してくれる人もいました。そうすることで長年積み重ねられていた心身の疲れが徐々に癒され、気持ちが整理されていくのがわかりました。
それはまた、復職前に上司や部下と会い、これまで一人で抱えていた心の辛さを話すという行動にも繋がりました。

今、卒業を迎えて思うのは「私の復帰を喜んで迎えてくれた人たちを信じ、自分の素直な気持ちを少しずつでも出していきたい、私もまた周りの人の気持ちを受け取って過ごしていきたい」ということです。そうすることが健康で幸せな就労人生に繋がるのではないかと信じています。

7ヶ月の間、働きたいという気持ちを取り戻せるよう支援くださった先生方、私の気持ちを受け止め一緒に考えてくださったメンバーの皆様へ心から感謝しています。

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Y.S.さん(リワーク在籍期間:247日)

『クレスと出会えてよかった』

「CRESSと出会えて本当によかった」。卒業を目前にした今、心からそう思います。

私は2年半程働いた職場で、人間関係や業務過多によるストレスで心身ともに疲れ果てていたところ、ある日パンクしてしまいそのまま休職に至りました。休職して乱れてしまった生活リズムを改善するのが目的でCRESSに通い始めましたが、その目的を達成できた以上に大きな経験をしました。

メンバーとのかかわりは私にとって大切な経験でした。
メンバーは年代や職種も様々、性格も十人十色でした。CRESSに来なければ出会うことのない人たちと出会えたことは貴重な体験でした。メンバーと話をする中で、相手の反応に戸惑ったり驚いたりすることもありました。そうかと思えば、メンバーから薦められたアニメにはまって、メンバー同士でそんな話をして、心から楽しいと思える時間も過ごしました。憂鬱な気持ちが、そういう時間で吹き飛ぶこともありました。親しい友達でもない人たちと楽しい時間を共有できるなんてそれまでの私には考えられないことでした。

メンバーとはプログラム内外で深い話をしました。ときには私のプライドを打ち砕かれるような場面もありました。メンバーの指摘に耐えられず涙を流したこともありました。
しかし、メンバーの厳しい言葉は、私と真摯に向き合ってくれたからこそかけてくれたものでした。信頼しているメンバーとのコミュニケーションがうまくいかず、傷つき、絶望的な気持ちになったこともありました。しかし、勇気を出してもう一度そのメンバーと話すということをして、お互いにわかりあえる体験もしました。「コミュニケーションはやり直せる」ことを知りました。

家族とも話さないような深い話もするのに連絡先も交換できない、リワークルームでしか会えないメンバーたちは、いつしか私にとって特別な大切な存在になっていました。
スタッフの先生とのかかわりも私にとって大切な経験でした。

導入前面談のときから担当だった前任の先生からは多くのことを学びました。完璧主義を手放すこと。ときにはかまってちゃんになることも必要だということ(かまってちゃんみたいな人間は大嫌いだったけれど、本当は私自身が「かまってほしい!」「助けてほしい!」と思っていた人間だったと気づかされました)。怒ったり、泣いたり、嫉妬したり、そういう色々な私がいてもいいということ。私が個別相談で長々と話したとりとめもない話から、いつも課題を見つけてくれたのも前任の先生でした。

前任の先生が長期休養に入られたとき、担当の先生が変わるのは仕方ないと頭では割り切っていたものの、心では到底受け入れられませんでした。そんな私を途中から担当してくれた岡本先生は、前任の先生を忘れられない私の胸の内を知りながら、岡本先生のやり方で最後まで私と向き合ってくださいました。何かあればすぐに声をかけてくださいました。メンバーとの関係や家庭で私が辛い思いをしたときには、いつも話を聞いてくださいました。

卒業目前で前任の先生の退職を知らされました。本当はもう一度前任の先生と会いたかった。たとえ卒業までに会えなくても、アフターリワークでいつか会えると信じていました。しかし、その希望の道が閉ざされてしまいました。悲しくて泣きじゃくる私の話を聞いてくれたのも岡本先生でした。岡本先生が担当でなければ、できない体験もたくさんあったのだと今になって思います。最後まで私の様々な感情を全て受け止めてくださった岡本先生には感謝の気持ちで一杯です。

ほかの先生とはプログラム内でのかかわりがほとんどでしたが、後半、プログラム以外の場面で話す機会も増えて、私は先生方との距離が近づいた気がして嬉しい気持ちになりました。先生方との会話も一つ一つ大切な時間でした。素晴らしい先生方が集まったリワーク施設だったと改めて実感しています。

CRESSでは様々なプログラムに参加しました。苦手意識が強すぎて最後まで好きになれなかったプログラム、メンバーとのかかわりや衝突で苦しかったプログラム、負けず嫌いの私が全面に現れたプログラムなど、それぞれ特色のあるプログラムの中で、普段の生活では出さないような、無意識の自分が出ることもありました。プログラムによっては辛すぎて、リワークに行きたくないと思う日もありました。
しかし、今になってみると、そうした苦しい体験も、復職するために必要な大切な経験だったと思います。

プログラム内外で、私は家族のこと、特に子供のことを度々話しました。休職は私にとって子供たちと向き合うきっかけになりました。休職前は心にも時間にも余裕がなく て、子供の話もまともに聞いてあげられませんでした。休職してやっとそれができるようになったのですが、そうした体験をメンバーの前で話したことは、私にとって家庭と仕事を両立することが復職する上でとても大事なことだと実感する機会にもなりました。

CRESSは優しい世界でした。苦しいことがあったら支えてくれる。辛い時には優しい言葉をかけてくれる。頑張ったことを褒めてくれる。私は自己肯定感が低く、劣等感を抱きやすい人間でしたが、だんだんと「失敗してもいいんだ」「こんな私でもいいんだ」という気持ちになれました。ここだからできたことも、言えたこともたくさんあります。そのCRESSをもうすぐ離れるのが寂しくてたまりません。いつの間にか、ここに通うことも、先生方やメンバーに話を聞いてもらうことも、全て当たり前の日常になっていたからです。辛いことがあっても、先生方やメンバーがいたから乗り越えられました。卒業して皆と会えなくなったら、職場という厳しい現実の世界で自分は果たしてやっていけるのか、不安で仕方ありません。

しかし、今の私は休職前の私と全く同じではないと信じています。まだ克服できない課題もありますし、一人の力ではできないこともあります。それでも、少なくとも休職前に気づけなかったことに気づける自分はいます。自分の不調に早めに気づいて、少しでも立ち止まることで、無理しすぎたり、限界以上に仕事を引き受けたり、そういうことを回避できる自分がいると信じています。

そして私はCRESSで出会った先生方やメンバーに「健康的な依存」をしていたと信じています。私が今まで思っていた「依存」というのは、その人が物理的にそばにいないと生きていけないという「不健康な依存」でしたが、「健康的な依存」は、その人がたとえそばにいなくても、その人の言葉が私の心にずっと生き続ける、そんな依存なのだと先生から教えていただきました。退職された前任の先生、もうすぐCRESSを離れられる先生のほか、中にはもう会えないメンバーもいるかも知れません。そんな人たちを含め、CRESSで出会った人たちの言葉や、その人たちと過ごした日々を心に大切にしまって、これから先もそれを思い出しながら、きっと頑張れるとそう信じています。そして、それがCRESSで出会ってきた人たちへの恩返しだと思っています。

卒業後は再休職を防ぐためにアフターリワークに通う予定です。これまでお別れしてきたメンバーとまた会えるかもしれない期待と、私がリワークに来る前にすでに卒業された、知らないメンバーばかりだったらどうしようという不安が入り混じりますが、やはり一緒に過ごしたメンバーと再会したいと強く願う自分がいます。復職後もうまくいくことばかりではないのと思うので、アフターリワークでスタッフの先生方やメンバーの力を借りて、無理をしないで自分を大切にすることを定期的に思い出しながら働いていきたいと思います。

CRESSのスタッフの先生方、メンバーの皆さん、今まで本当にありがとうございました。

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A.K.さん(リワーク在籍期間:292日)

『集団のなかでの気付き』

私は、リワークに参加するまでにすでに1年近く休職していました。その間は、自宅にて療養しており、ほとんど外部との接点が無い生活を送っていました。
その後、主治医から復職可能の診断がおりた為、会社に復職を申し出ましたが、リワークプログラムを受けるように促されました。当初、リワークは受け身の体勢で参加することになりました。

リワークに通うようになってからは、気付きと葛藤の連続でした。
プログラムを通して自分の課題となる姿勢が明らかになっていきました。具体的には、私は発言が苦手だということでした。
各プログラムでは、自発的なディスカッションをする機会が多くあります。その機会の度に積極的に発言できない自分がいました。自分の中で思う言葉がなかなかうまく纏められず、それを言葉にすることの困難に見舞われました。これは、自宅で療養していただけではとうてい気が付かない事実でした。発言したい気持ちはあるのですが、どうしても発言できない自分がいました。そのことについて、一人で抱え込むのでは無く、スタッフとの個別相談で相談したり、毎週提出していたホームワークで深掘りし、どうしてできないのかを考察したり、認知の歪みについて考えてみたりと自分なりに課題に向き合う体験をしてきました。
この課題は、リワークの最後まで抱えたままでしたが、復職後にもそういった場面に出会ったら、リワークでの体験を思い出して、課題に正面から向き合う積極的な姿勢を取り戻したいと思います。

次に気付きを得たのは、コミュニケーションの問題でした。
リワークに参加するまでは本当に気が付かなかったのですが、自分はコミュニケーションが表面的なものにとどまる事が多いのと親しくなるのに偏りがあり、親しくなるまでに時間がかかるということでした。それは、2ヶ月に1回実施される自己評価の結果にも現れていましたし、スタッフから指摘を受けたことでもありました。
また、コミュニケーションの問題は、コミュニケーションの狭さにもつながっており、その問題が休職前からあったことに気付かされました。気付いたきっかけは、メンバーからの一言でした。その方は、休職前の職場で誰とも心を通わせず、孤独な体験をされており、その状態が私にもあったのでは無いかとアドバイスしてくれました。それを聞いたときは、驚きでいっぱいでした。しかし、自分のおかれていた状況やリワークでの再現を体験していた状態では、すごくしっくりとくるアドバイスでした。自宅で療養しているだけでは、得られない気付きを得た瞬間でもありました。

発言が苦手だということと、コミュニケーションに課題があることは、リワークですぐに改善できた訳ではありませんでしたが、対処するべき課題がどこにあるのかに気付くことができました。それが、9ヶ月という短くは無いリワーク期間で得られた体験だったと思います。
最後まで課題に向き合う姿勢を持てたことは、私の人生で大切な時間だったのだと思います。また、私に大切な気付きを与えてくれた、メンバーやスタッフの皆さんに感謝の気持ちを送りたいと思います。本当にありがとうございました。

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T.D.さん(リワーク在籍期間:208日)

『またつらい時を迎えた自分へ』

「リワーク卒業」という言葉が、7ヶ月前の自分と今の自分の中で大きな違いがあることに気づきながら、この卒業文集を書いています。卒業文集と言いつつ、これは将来の自分がまた迷った時、つらい時、どうしようもない時に向けた保険です。7ヶ月に渡るCRESSでの経験を心の中に留めるため、卒業文集の形を借りてここに記したいと思います。その中で読者の方が何か感じとっていただけると、それは望外の喜びです。

◆休職から7ヶ月前の自分

休職をした時は突然でした。急に倦怠感や悪寒、腹痛、頭痛などが襲ってきて、体を起こすことができず、ほとんどなし崩し的に会社を休職することになりました。最初は1ヶ月ほど休めば何とかなると思っていましたが、時間が経とうとあまり良くなる気配もなく、ずるずると体調が悪いまま家で無為に過ごしていました。
少し時間が経ち、休職当時から通っていた別のクリニックが閉院になるということがあり、和田先生のクリニックを探しだし、通院を開始しました。引き続き投薬治療や散歩などの体調管理を続けていましたが、体調はある程度戻ってきたものの、作業への集中力や復職へのモチベーションは全く上がらない状況でした。
そんなある時、和田先生からCRESSのリワークプログラムを紹介され、一度心理士の先生と会ってみないかと提案を受けました。正直その時は参加について嫌な感情しかありませんでした。自分としてはゆっくりではあるものの、体調も良くなってきたし、もう少し経てば自然に復職できるだろうと、そういう思いがあったので、とりあえず会って話だけ聞き、参加は断ろうかなと思っていました。
心理士面談の当日、心理士の先生からはCRESSのリワークプログラムの説明を受けていましたが、申し訳ないのですが、その時は心ここにあらずでした。ただ、プログラムの説明を受けた後に今の生活状況を色々相談する中で、自分の話をし出すと少し気持ちがラクになる自分がいました。休職以降、家でほとんどの時間を過ごしていた自分は、何度かの心理士面談を通じて少しずつ話をすることで徐々に刺激を受けていました。そんな中でも実際に参加するにはかなり勇気が必要で、踏ん切りがつかず何度かリワーク参加の延期を繰り返しながら、ようやくCRESSでお世話になることになりました。
このときはリワーク開始から1、2ヶ月で卒業できたらいいなと思っていました。リワークに通って徐々に体調を整えて、人とある程度会話ができるようになれば、十分卒業できると当時は考えていました。

◆リワークの中の自分

リワークプログラムの初日は、これまでにないほど緊張したことを覚えています。休職からまともに人前に立ったことがないので、他の人とどう話して良いかもわからないし、そもそも半日とはいえ、大人数の中で行動できる自信が全くありませんでした。
部屋の説明を当時のメンバーさんにしてもらい、朝の会で簡単に自己紹介をしました。
そのあとの記憶はあまりありませんが、お昼に帰るときには「ようやく一人になれる」と、ものすごくホッとしたのは覚えています。
初日は緊張したものの、リワークに通ううちにメンバーの方が声をかけてくれたりして、徐々にリワークへ来ることに苦痛を感じなくなっていきました。この時もこのままう まくリワークに通って、すぐに復職できたらいいなと考えていました。

ところがそううまくは行きませんでした。リワークプログラムやCRESSのメンバーとの交流で、自分が如何に自分のことがわかっていなかったかが良くわかってきたのです。
CRESSで気づいたことは本当にたくさんあるのですが、纏めて言うと上記の通り「本当の自分はどう思っていて、それを理解して相手に伝えられているか」という部分がほとんどだと思います。
最初に違和感を感じたのは、リワークの中で相手に自分が気になっていることを指摘しあうという場で、私以外の他メンバー間で言い合いをし始めた時です。私は自然と「それぞれの言い分はわかるから」と、その場を取りなす行動をしました。自分としてはそう行動することが当然で、今までずっと特に考えずにそういう行動をしてきました。場の雰囲気が険悪になることが嫌でしたし、喧嘩をしても何も良くならないと考えていました。
その後メンバーの方から「あなたは本当はどう考えているのか」と指摘を受けました。
自分の中では「こっちの人の方が悪いな」という考えはあったのですが、それを指摘してしまうとその人が窮地に立たされるし、そう指摘した私もその人から嫌われると思い、その正直な気持ちを伝えることはできませんでした。
その後にプログラムが終わってからも、そのやり取りが頭から離れませんでした。私はその場を上手く収めようとしたが、それは本当に他のメンバーから必要とされた行動なのだろうか、自分がただネガティブな感情に満ちた場所にいるのが怖かっただけなのではないか、相手のためを思ってした行動は本当は自分の保身のためだったのではないか、などの考えが頭の中をぐるぐると回っていました。
そしてよくよく考えてみると、私は人生で同じような行動をずっと取り続けてきたことに思い至りました。その場その場で、場を和ませようと自然に取ってきた行動は、おそらく自分自身の根っこの部分から出てきた行動なのだと、初めて気づきました。
「今までの人生で本当に相手に対して、ネガティブな感情をぶつけたことがあっただろうか?」。自分は生まれてからほとんどまともに喧嘩をしたことがありませんでした。喧嘩をしたとしても相手の意見を拒絶し、無視やわかったふりをするだけ。相手のネガティブな感情をしっかり受け止めて、相手に返すということが一度もできていなかった、ということに気づきました。
ネガティブな感情の受け止めだけではありません。普通のコミュニケーションにおいても、ただ単にその場しのぎで相手の思っていそうなことや喜びそうなことを返してあげ る、その場の雰囲気に合わせて自分が思っていたことがあっても沈黙を選択する、など向き合うべき相手と向き合わないこと、つまり自分にとって自然で楽な方へ無意識に選択することを繰り返してきたのが、今の自分なのではないかと感じるようになりました。

少し休職当時の話に戻りますが、私は今回の休職の理由が、職場の人間関係にあると思っていました。上司とさらに上の上司の折り合いが悪く、職場の雰囲気は良くありませんでした。そして休職前に昇進した私は上司と部下との間で精神をすり減らし、それが原因で休職に至ったと理解していました。おそらくそれが原因の一部であることは間違いないでしょう。ただ、全部かというとそうではないと今では断言できます。
もし職場で自分が自分のネガティブな気持ちを上司や部下に十分に伝えることができていたら、休職に至らなかったかもしれません。「私は今困っています」、「私はしんどいんです」、「大変なので助けてください」と伝えられれば、誰かが助けてくれたかもしれません。もしアラートを上げられれば、職場で孤立せず、どうしようもない状況になってしまうことを防げたかもしれません。
でも、会社にいる時の自分は、ネガティブな感情を伝えることが、周りからの評価を下げることだと考えて、切り出すことができませんでした。もちろん自分は何とかやれるという自尊心も関係していたかもしれません。そして自分のしんどさにいつか誰かが気づいてくれるだろうという、甘えた感情も抱えていたかもしれません。
リワークを通じて学んだのは、自分の気持ちを伝えようとしなければ伝わるわけがないし、相手の気持ちを知ろうとしなければ分かるわけがない、という言葉にすると本当に当たり前のことなのですが、職場という負荷の高い環境にいると気づくことは恐らくできなかったのではないかと思います。

先のようなプログラムの経験を通じて、リワーク初期から中盤までは、自分の思っていること、好きなこと、興味があることを積極的に自己開示するようにしていきました。そして、メンバー間で気になる点を指摘する場があったら、拙いながらも相手の気に入らない部分を指摘するようにしました。自分の中では非常に勇気のいる行動でしたが、指摘した後の時間で「本当はこう言いたかった」と、指摘しあったメンバーとその件について話し合ったりすることで、何かホッとする時間が生まれるようになりました。「喧嘩=関係の終わり」と自分の中では思い込んでいたのですが、それは間違いだったと経験を通じて思い至りました。コミュニケーションというのは、摩擦がありながらもお互いを分かり合うプロセスのことだ、ということを身をもって感じることができました。
楽しかったり、つらかったりしたリワークの経験を通じて、CRESSで居場所を見つけることができ、徐々にリワークの一員になることができました。

リワークの終盤、私は復職時期について迷っていました。CRESSに在籍し、毎日通うことが当たり前となり、その場にいることに心地よさを感じていました。最初考えていた1、2ヶ月で復職すると思っていた期間はとうに過ぎ、4ヶ月は経っていたと思います。リワークに同質化している自分が、「あぁ、ここはいつまでもいる場所ではないんだ」と考えるきっかけを作ってくれたのも、CRESSのメンバーでした。
1人、2人と長くリワークの体験を共にしてきたメンバーの方が卒業していきました。その中には、「しっかり自分の課題を見つけ、不安だけども課題と向き合うために職場に戻っていった方」、「本当はもう少しリワークにいたかったけど、家庭の事情で職場に戻らざるを得なくなった方」、「会社の休職期限が迫ってきて、泣く泣く復職された方」などそれぞれの事情を抱えて旅立っていかれました。卒業された方以外にも、どうしても体調が優れずつらい思いをされながら中断された方もおられました。
自分で選択された方ばかりではないですが、その方たちが卒業・中断される際に寂しい表情を浮かべつつも、少し晴れやかな心を持っていると私は感じていました。それはリ ワークでの経験やメンバーとの交流で何か感じ取ったものがあって、それを持ち帰れたからなのではないか、と今では思っています。

◆今の自分

今CRESSからの卒業を目前にして、自分にとって「リワーク卒業」の言葉はリワークに入ってすぐの自分が考える「リワーク卒業」ではなくなっています。昔までの心を伝えることができない自分であれば、おそらく卒業文集に書くことが見つからず、ただ途方に暮れていたと思います。
でも、今の自分にはここに書きたいことがたくさんあります。ただの知識としての話ではなく、経験として、交流として、繋がりとして書くことができます。楽しかったこと も、つらかったことも、イライラしたことも書くことができます。卒業すれば残念ながらこれから書くべきことが増えることはありません。今となってはそのことだけが寂しいと思っています。
少し恥ずかしいことばかりを書いてきたので、最後に皆さんへの感謝で卒業文集を終えることにします。

#リワークのメンバーへ

7ヶ月に渡りリワークの経験を共にしてくれてありがとうございました。自分の課題に気づくことができたのは、時に厳しく、時にやさしく声をかけてくださったメンバーのお陰でした。私自身今卒業をするという段階になっているものの、気づいたけどまだどうすれば良いかわからないこと、あるいはまだ見つかっていない自分の課題など、これから取り組まないといけない宿題はたくさんあります。
卒業はしますが、私自身これからの会社生活や人生の中でつらくて立ち止まってしまうこともあるかと思います。その時は同じ場所で同じ時間を共有したメンバーのみなさんを思い出しながら、悩んでいるのは自分だけじゃないと気持ちを奮い立たせて前を向きたいと思います。
メンバーのみなさんにも、リワークプログラムや会社との関係などで、つらいことや悲しいこと、イライラすることがこれからたくさん襲ってくると思います。そんな時は、一人で抱え込むことだけは止めて欲しいです。自分で対処を考えることも大事ですが、自分のことは意外とわからないものです。その場合は他のメンバーやスタッフ、頼りになる人に助けを求めてください。その時に助けを求められるよう自分のことをわかってもらう努力をしてください。つらくともそう努力し続けることが、唯一の方法だと思っています。
これからはほどほどに頑張って、人生を楽しんでください!

#スタッフの先生方へ

プレリワークから始まり、本当に長い時間お世話になりました。先生方のメンバーに対して真摯に向き合おうとする姿や丁寧にプログラムの狙いを説明する姿などを拝見する度に頭が下がる思いでした。自分自身は人と向き合うことを避け続けて今まで仕事をしてきました。先生方が人と向き合う仕事を選ばれ、CRESSで実際にメンバーと相対して共に苦しみ、悩むことをされ続けているということに尊敬の念を感じています。
一方でメンバーの心に触れるということは、大変負担のかかる仕事でもあると思います。ご存じのことを承知でお伝えしますが、くれぐれもメンバーに寄り添い過ぎて、疲れ てしまうことが無いよう、ご自身のことも十分ご自愛ください。
本当にありがとうございました。

#岡本先生へ

この場で謝らないといけないことがあります。リワークを開始した当初は若い先生だったので、少し不安がありました。でもそれは個別相談を中心にお話をする中で杞憂に終わりました。私の拙い話を丁寧に聞いてくださり、時には私以上に私のことを考えて下さいました。先生の言葉でたくさんの気づきを得ることができましたし、救われたことも多くありました。
「自分はどういう人間なんだろうか」と、長らく頭の中で自問自答しながら思考の渦に捕らえられていましたが、その場で感じる自分の心に素直に耳を傾けること、そして自己開示の重要性や自分の居やすい人間関係・環境を自分から作りにいくこと、相手からの反応を受け止め自分の本来の想いを見つけることなど、おそらく自分一人ではこの先の人生で気づくことができなかった部分を発見させてくださいました。
これは私のわがままですが、これからも先生のスタイルで、できるだけ多くの人に寄り添ってあげて下さい。
あと私は密かに先生は頑固属性強めだと思っています。
本当にお世話になりました。ありがとうございました。

それではみなさん、またどこかでお会いできることを願って。

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Y.K.さん(リワーク在籍期間:253日)

『残酷な世界と向き合う』

まず、この卒業文集で一番伝えたいことを最初に話したい。それは、休職して今後のことについて悩んでいる方がこれを読んでいるのであれば、ぜひリワークプログラムを受けてほしいということだ。

私自身のことを話すと、こころのクリニック和(以下「CRESS」とする。)には、あまり乗り気で来たわけではない。
私は難病が体内で見つかり、それが原因で先の人生に対し生きる希望を見出せなくなった。職場は私を適応障害という病名で休職させることにし、総合病院の内科と並行して心療科にも通い始めた。しかし、その心療科の先生は、「難病を治さないことには復職しても仕方ない。」、「その間に職場から切られてしまったなら、別の職場を探せばいい。」なんて、治療の目途もたっていない病気に対して随分と軽く言ってくれる、この先生とは上手くやっていける気がしないと、表には出さなかったが内心憤りを感じていた。そんな感じでただ診断書を出してくれるだけの先生との治療が上手く進むはずもなく、復職がかかった産業医との面談では、「何が原因で自分が休職したか、貴方自身は理解できていますか?」との問いに対し何も返答できず、復職不可との判断が下され、その際産業医からここCRESSでのリワークプログラムを受けることを勧められた。

CRESSに通い始めてからリワークプログラムを受ける中でも、難病がなければ自分はこんなことになっていなかった、仮に職場に戻れたとしても結局難病が立ち塞がるなら今していることに何の意味があるのかと、ずっと葛藤を続けていた。何をどんな風に改善すればここCRESSを卒業できるのか、そんなことをずっとスタッフに問い続けてもいた。プログラムの中でも、自分の中から出てくるものはそんなどうしようもないことに対することばかりで、私はCRESSを自分の感情を吐露するだけの場として利用してきた(それで救われていたことも多々あった。)。

だが、そんな私に転機が訪れたのが、同じくCRESSに通っている他メンバーとの衝突だ。
それまで私はメンバーの事は、休職という同じ事情を抱え、ここからの卒業を共に目指す同志としての認識しかしておらず、自分にとって脅威となる存在ではないと考えていた。しかし、プログラムを通じて、それに関する向き合い方などで私は徐々にメンバーを口論で攻撃するようになっていった。それは他メンバーの卒業で自分のCRESSの中での立ち位置が変わってきたことが大きい要因だったと思う。
卒業されたメンバーの方がしてくれたようなことを、今度は自分がしなければならない。ある種使命感のようなものを感じながらそう振る舞っていた。それが正しい行いだとも思って日々そんなことを繰り返していたとき、他のメンバーから猛反撃を食らった。
「CRESSはお前の感情を吐き出す場じゃないんだ」と、そのようなことを言われた。私は反射的に攻撃し返したが、自然と涙が零れており、半ば逃げ出すように早退した。その日は帰ってからずっとそのことが頭をよぎって、夜も眠れなかった。自殺しようかと考えていたことも、苦しかったが今では懐かしい記憶だ。

それ以降私の中で何かが変わったように思う。「思う」と曖昧な言葉で表現しているのは、私自身は変化をあまり感じていないが、他のメンバーからはこの時から明確に変わったとよく言われるようになったからだ。
確かにそれまでの私は物事についてあまり深く考えることなく、ただ頭の中に浮かんできたことをそのまま口にしていたようなことが多かった。言ってみれば、自分のことしか考えていなかった。今でもそういう自分の全てが変わったわけではないが、しかしそれ以降はメンバーのこと、スタッフのこと、CRESSのことをよく考えるようになった。
これまでのように頭の中に浮かんできたことを口にする前に、(相手はこう考えているんじゃないか?)、(何かこういう経験があったりしたのだろうか?)と、一拍頭の中で考えるフェーズができた。そうしてこれまでのように口論で衝突することがあっても、「前までと違って思いやりを感じる。」と言われたりもした。

”考える”ということをよくするようになったのは、何もこのことだけがきっかけではない。思い返せばCRESSのスタッフも、ずっと自分たちをそのように導いてくれていたのかもしれないと思い当たる節が多々あった。
休職前からよく視野が狭いと周囲の人間から散々口にされていたが、私は言葉通りの意味だと思っていた。しかし、その言葉だって口にする人ごとに違う意味が込められていたのかもしれない。
私は自分で人を見る目がない人間だと思っていたが、そうではなく、はなから人を見ようともしていなかったのだ。自分のことが嫌いなのに、頼れるのは自分だけだと自分を甘やかし、人と関わることから逃げ続けていた。だがCRESSではそれが通用しなかった。もちろん、今ではいい意味で言っている。

身の回りの様々な事情も後押しし、私は復職を決意した。再び職場の上司や産業医との面談を行うまでの期間は、色々なことを考えた。自分の仕事のこと、周囲からの視線、もちろん難病を抱えたままであることも。しかし、それは家やCRESSでいくら考えたところで何も答えは出ない。
だから、後ろ向きな事情を抱えた自分のままでも復職をしなければいけないとの想いを伝え、産業医との面談で時短勤務での復職が決まった。あらゆる角度から色んな質問をしてくる産業医の問いに全て考えて返答できるようになったのは間違いなくCRESSのおかげだし、少しは自分を褒めたくもなった。

ここまで自分のCRESSに対する想いを語ってきたわけだが、これでCRESSが優しい世界だと、自分を変えてくれるような場所なのだと勘違いはしてほしくない。むしろその逆でCRESSは恐ろしい、残酷な世界だと思ってほしい。確かにCRESSは同じ痛みを抱える同志が集まっており、一見優しく温かい場所である。最初はそれが必要な時間もあるだろう。

だが、ここは本来自分がいるべき世界ではない。いずれ復職や別の道を探し、この世界の外に出て行かなければならない。浸り過ぎれば卒業は寧ろ遠のいてしまうのだろう。残酷な現実と向き合わなければならないその時のために、自分はどうするのか、どうあるべきかをひたすらに考えていかなければならないのだ。それはここにくる以上、誰しも苦しく、厳しい道を歩むことになると思う。そしてその答えを他のメンバーやスタッフは持っていない。自分を変えるようなよいきっかけを掴むのも、再び社会復帰への道を歩みだすのも、最後は自分から行い、決めるしかないのだ。

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N.Y.さん(リワーク在籍期間:200日)

『リワーク参加前と参加後の変化』

私は、リワーク(CRESS)を卒業し、復職になるわけではあるが、この7ヶ月弱の体験は本当に良かったものと感じている。当初リワークなんて不要と思っていた私がリワーク(CRESS)に参加したことによって、リワークに対するイメージが大きく変わり、私自身も大きく変わることができたと思っている。その内容を卒業文集に記載したいと考える。
もし、リワーク参加に躊躇している方、リワーク参加でどんなことが変わるのか気にしている方、リワークなんて不要と思っている方へこの論文が参考になれば幸いである。

1. 私がリワーク(CRESS)に参加することになった経緯私は2024年7月中旬に、勤務中に悲しい状況でもないのに、いきなり涙を流すような症状が発生した。また、自身が苦手と感じる仕事のことを思うと寝られなくなる症状があらわれて、より一層、自身の感情のコントロールをすることができなくなる状況に陥った。上司に相談し、ほぼ同時期に産業医面談を受けた。結果、1~2週間ほど休みを取り、自身の体調回復はもちろん、ストレスマネジメントを学び自分を振り返る時間を作るように勧められた。私は指示の通り、体調回復に専念し、生活リズムを整え、ストレスマネジメントの勉強や、自身について色々振り返った。また、このような状況に陥った原因を私なりに探っていた。同時期に、当院を受診し、診察をしてもらいながら、落ち込んだ気分を和らげる薬を処方してもらった。
回復したように見えたので、一度仕事に復帰したものの状況の改善は見られなかった。
ちょうどお盆休みも重なったので、改めて自分を振り返る時間をとった。盆明け、出勤はできたが感情のコントロールができず、再度、産業医面談を受け、ドクターストップがかかりリワークの受講を勧められた。その指示に従い、リワークへの参加を申し込んだ。

2. 参加前のリワーク(CRESS)に対するイメージ
私が参加する前のイメージは、「生活リズムを整え、日中の集中力を高めたり、1日働けるようにするための体力をつけたり、PCスキル等のリスキリングを行って、職場で働く力をつけるために通う場所」と考えていた。
私はそのような内容はクリアできており、仕事ができない人が通うところという勝手なイメージを持っていたので、正直、産業医からの指示は不服ではあった。リワークはそういったところではないと産業医は言っていたが、当時の私は信じてはいなかった。ただ、私自身がどうして良いかわからない状況に陥っており、藁にも縋る思いだったので、しぶしぶ申し込んだ。
リワーク参加前は、プレリワークとして、リワークスタッフより、リワークのプログラムやルールの各種説明、そして心理テストがあった。説明を聞いても、リワークのイメージは変わらなかった。大体の方は6ヶ月ぐらいで卒業して復職と説明があったが、当時の私は2~3ヶ月程度で戻れると感じていた。

3. リワーク(CRESS)での経験
リワーク初日、扉を開けて参加するとき、非常に緊張していたのを覚えている。私は人からそうは見えないと言われるが、人見知りする性格であると思っていたので、一緒に過ごすメンバーと仲良くやっていけるのかな?と不安に感じていた。着いて早々、リワークメンバーからリワークルームの設備やルールを説明していただいた。とても丁寧に説明していただき、ここで緊張は和らいだ。最初の自己紹介もうまく話すことができた。またメンバーからは「慣れるまでまずは来るだけで大丈夫ですよ。」と言ってくださったので、とりあえずなじめそうだな、優しそうな人が多くてホッとしたと思った。一方で、「ハードルが低くも感じており、私にとって意味のある場所なのか?」と疑問を抱いた。
リワークプログラムに参加していく上で、ためになる知識(アサーティブなコミュニケーション、認知療法など)を吸収していき、身になるとは感じてはいた。ディスカッ ションのプログラムでも積極的に発言し、私が弱いところや休職に至った原因も包み隠さず話すことができ、リワークメンバーからも「最初なのに上手にお話されますね」と言ってもらえて嬉しかった。この頃には、休職前と同様の規則的な生活もできているので、より一層、2024年中には復帰かなと考えていた。
ただ、結果的に卒業はすぐにはならず、より一層深い体験をしていくことになっていった。プログラムをこなし、メンバーと交流を深めていく中で、自分への理解がまったく出来ていないことに気づいたからである。
あるプログラムの中で、私のことを怖いと思っているメンバーがたくさんいたことがわかり、私は衝撃を受けた。私は明るく面白いと思われて、話しかけやすく親しみのある人というのを心がけていたので、まさかメンバーから怖いと思われるなんて微塵も思っていなかった。無意識に表情や態度に怒りが出ていたようである。また、ある時に自身の発言でメンバーを泣かせてしまったこともあった。良かれと思い私の考えを伝えた結果であったが、その時どうして良いか本当にわからず、また、このリワーク(CRESS)の中でグループにいることができるのか本当に不安に感じた。
こうした経験から、上辺の部分でしかコミュニケーションをしていなかったり、また感情を素直に出しすぎて抑えることができなかったりと、私は精神的にかなり幼いことを自覚した。正直、この事実を受け入れるのは苦しかったが、この時期からリワークに参加していく意義というものを理解できたと感じた。
このリワーク(CRESS)の中では、スタッフとの個別相談の時間があったり、メンバーがある場面でどのように感じていたかコミュニケーションを振り返るプログラムがあったり、ある職場での事例があったときに私ならどのように考えて対応するかだったり、グループや職場でのコミュニケーションとはどのようなものなのかを考える機会がたくさんある。そこからさまざまな考え方や感じ方があるということを改めて理解ができた。このあたりから、自分の特徴というのにも気づきはじめた。不安を大きく感じすぎたり、過集中しすぎて自身を見失いがちだったり、ネガティブな感情についてはフタをしがちだったり、自身の特徴や今後職場に戻ったときの課題に気づくことができた。私一人では到底見つけることができなかったと思う。

4. 参加後のリワーク(CRESS)に対するイメージ
上記のような経験があり、私は大きくリワークに対するイメージが変わった。リワークは、「スタッフやメンバーと共に、時には苦しんだり傷ついたりしながらも、本当の自分の性格や特徴に気づき、気づく方法を学ぶ場所。また、そういった本当の自分が、今後職場に戻ったときにどのように働いていくかを考え、復職に向かう場所」である。 今、卒業目前を控えて、この文章を記載しているが、課題がすべて解決できたとは思っていない。相手がどのように感じているかわからないことがたびたびあり、自身のテン ションが上がりすぎて自分を見失うことも多々ある。ネガティブな感情から逃げている自分もいる。ただ、リワーク参加前の私ではそのことすら気づくことができなかったと思う。
そのように自分自身を客観的に見られるようになり、休職時に産業医から言われた、「自分自身を見つめなおす」という意味をやっと理解できたと思うことができ、それが私 が大きく変わった証拠だと思っている。

5. さいごに 文章にすると安っぽくなってしまうが、普通に社会人生活を送っているだけでは気づけなかったことをたくさん気づくことができ、私の今後の人生で、私の特徴を理解しなが ら、どのように働いていけばよいか自分なりに理解することができた。このことに気づかせてくれた、ここで出会ったスタッフや一緒に時間を過ごしてきたメンバーには本当に感謝の気持ちでいっぱいである。
もし、自分が職場に戻り苦しい経験に直面したら、この文章やリワーク(CRESS)での体験を思い出したり、見直したりして、あらためて自分を見つめるということに取り組みたいと考える。
今、この文章を読んでいる方が、休職してしまってどうしていいかわからなくなっていたり、何回も休職を繰り返していたり、”自分を見つめなおしてください”と言われてもどうしていいかわからない人は、このリワーク(CRESS)の体験を勧める。一人では見つけることができなかった自分と出会え、休職した本当の理由が見つかることを祈る。>

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T.T.さん(リワーク在籍期間:194日)

『リワークで見つめた自分』

私は仕事で困ったときや分からない事が出てきたとき、上司や周りに頼ることができず、自分で抱え込んでしまって職場に行くのが辛くなり、休職することになりました。

休職して2ヶ月が経った頃、和田先生に勧められてリワークに参加することにしました。
どんな人達が居るか、人見知りの自分が馴染めるか、ついていけるか、すごく不安でした。
しかしメンバーの皆さんは本当に温かく迎えてくれて、不安もありながらも続けることが出来そうだと思いました。

一方で自分の家庭の方では、リワークに参加し始めてから、家事をすることがしんどくなってきました。
「家事をして欲しい」と言われたわけではないのに、休職して仕事をしていない事の後ろめたさから出来るだけ家事をしていて、妻に「家事も出来ない」とか「仕事をしていないなら家事くらいはして欲しい」と思われるんじゃないか、そんな不安や怖さのような感情があって、家庭でも家事がしんどくなってきた事を言えずに抱え込んでしまいました。

その事を和田先生や担当の眞田先生にも相談して、妻と話すことにしました。
すると妻は全くそんな事を気にしていなくて、自分だけが重く考えすぎていたのだと感じました。
リワークに参加するうちに、自分のそういった不安や怖さを持っているという「弱さ」を見せない自分に向き合うようになりました。
「自分は大丈夫」と思ったり、周りに「大丈夫な人だ」という風に思われたい。
心配される事は良くない事だと思い込んでしまっていました。

そこには、これまでの社会人生活の中で、なんでもかんでも聞くと「いつまでも出来ない人間」のレッテルを貼られるとか、自分で考えないと成長できないとか、そういう「こうあるべきだ」という理想像のようなものがあったのだと思います。
だから逆に、不安や怖さを見せてしまう自分はダメな人間だとか、大袈裟に言えばそんな自分には価値がない、というような考え方から、自分の弱さにフタをして、大丈夫なフリをしていました。
「怖い」と言うことが怖かったんだと気づきました。

リワークでも初めの頃はなかなか発言できない自分が居て、参加はしているけど、同調してしまう事が多かったと思います。
思っている事を言うと否定されるんじゃないか?流れを止めてしまうんじゃないか?という不安や怖さがありました。
あるときメンバーから、「発言しないのは無言の賛成ということですか?言わないのは卑怯だと思う。思っている事があるなら言って欲しい」と発言があり、この言葉が自分の胸に強く刺さりました。

確かに同調する方が楽だし、言わない方が楽です。
「楽だから言わない」のは自分の不安や怖さにフタをした行動だったのかもしれません。
ここ(リワーク)で出来ない事は、職場に戻っても出来ないんじゃないか。
不安や怖さがあっても、その自分を認めて発言しようと考えるようになりました。
発言しないときは、なぜ発言しないのか?自分で振り返るようにしました。

そういう弱さにフタをしていた自分に気づいてから、職場への見方が少し変わりました。
休職してリワークに通い始めてからしばらくの間、「自分が休職になってしまったのは職場(環境や人間)が悪い」という気持ちが強かったです。
自分が周りに頼れなかったのは、周りのせいだと。
眞田先生との面談でもそこを指摘され、「自分事と考えずに外の事で済ませてしまうあなたは、リワークで何を学ぶんですか?それでこの先社会復帰できますか?」と厳しい事も言われました。

弱さを見せない自分と、自分事と考えずに周りのせいにする自分。
どちらが正解、どちらが不正解、ということではなく、自分の中でそのバランスを見つけていこうという気持ちになりました。
弱さを見せないことが絶対に良いという事でもないし、全部が全部弱さを吐き出せば良いという事でもない。
休職したことも、全て自分が悪かったわけでも、全て職場が悪かったわけでもない。
0か100ではなくて、自分の中でバランスの取れた見方をできるようにしたいと思いました。
自分が弱さを見せないのはなんでなのか?
周りに頼れなかった自分は、どうして頼れなかったのか?
そこにある自分の感情を見つめて、自分を認めることが大事なんだと思います。

性格や考え方が全部変えられるとは思いません。
これはリワークに通い始めた頃も、卒業を控えた今も同じように思っています。
でもこれまで意識的に、あるいは無意識のうちに、偏った見方や考え方をしてしまっていた自分にこのリワークで気づいて、どうして自分がそう思うのか、視野を広げてより納得感を持つ見方をする心がけは出来るようになったと思います。
リワークで過ごした期間は、自分を見つめる事ができた大切な時間でした。

最後に、これまで一緒にリワークで取り組んでくれたメンバーの皆さんや、スタッフの方々、担当の眞田先生、主治医の和田先生に心より感謝いたします。
ありがとうございました。

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U.Y.さん(リワーク在籍期間:201日)

『これからリワークに参加される方へ』

これからリワークに参加される方へ私の経験をお伝え出来ればと思います。

私はリワークに約7ヶ月間お世話になりました。参加当初は、どんな人たちがいるのか分からず、不安でいっぱいでした。また、仕事をせずに休んでいる自分が許せませんでした。

リワークに参加して1ヶ月が経ち、午前、午後ともにプログラムに参加するようになり、メンバーやスタッフのみなさんとお話しする機会が増えました。昼休みにも何を話せば良いかわかりませんでしたが、次第にプログラムのことや趣味のことを話せるようになりました。

3ヶ月ほどして、ほとんどのプログラムを経験し、2回目のプログラムも出てくるようになりました。そんなとき、和田先生から復職の意思確認がありました。私は「繁忙期に復職したくない」と言って、休職を延長しました。そのとき、和田先生からは「繁忙期という状況ではなく私自身はどう思っているのか」と質問され、答えられませんでした。

そこから、復職間近のメンバーに話を聞いて、復職に向けて自信になる経験を得たいと思うようになりました。意欲的に取り組んでいた矢先、グループ作業でわからないことを質問できずに抱え込む自分がいました。他のメンバーの邪魔をしてはいけないと気を遣っていた結果、作業が遅れていたのです。気遣いのはずが、メンバーに確認せず会話を避けることに繋がっていました。卒業する今となっては参加前と比べると積極的に会話するようになり、自信がつきました。ここまで私が成長できたのは、心理師の先生をはじめ、メンバーみなさんのお言葉のおかげです。本当にありがとうございました。

これからリワークに参加される方は、参加への一歩を踏み出す力があれば、それだけで十分だと思います。みなさんにとってリワークが実りの多い期間となりますように。

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M.T.さん(リワーク在籍期間:355日)

『復職は一日にして成らず』

休職してから1ヶ月と少し経ったころ、私は”もう元気だ、復職できる”と思うようになりました。
診察で和田先生にそのことを伝えると、元気だと思うのはストレスの原因から離れているからということ、私の考えに偏りがあるから再休職のリスクが高いことを伝えられ、リワークプログラムへの参加を勧められました。そのとき言われた「どうしてもと言うのなら診断書は書くことはできるけど……」という言葉にドキリとしたことを今でも覚えています。
このドキリとした感覚の正体に気が付いたのは、リワークでのセルフチェック報告会でした。メンバーの皆さんの話を聞いているうちに、私は「復職したい」ではなく「復職しなければならない」と考えていると気が付くことができたのです。さらに、リワークでの生活で「復職が怖くてたまらない、復職したくない」ということにも気付くことができました。

そこからが長い道のりでした。
どうしたら復職しようと思えるようになるのかわからなくなってしまったのです。それでも、リワークに参加し続けることで、得られた体験が確実に私の糧となっていると今では感じています。
例えば、グループ作業での「なにもできない」という惨めな気持ち、それでもメンバーからの後押しもあってリーダーができたこと、SSTで感情が置き去りになっていたと気付かせてもらえたこと、そして、なによりいろいろなプログラムでの先生方からのフィードバックです。辛いなと思う体験はたくさんありましたが、「なぜそう感じたか?」を考え、先生やメンバーの皆さんと共有できたことが私の糧となっているのです。ただし、辛いだけではなく書道やルービック脳トレ、卓球などのプログラムでメンバー同士でお互いのことを知ることができ、関係を築けたうえでの体験だったので私は乗り越えられたのだと思っています。
私の場合、復職してみてもいいかなと思えたのは、上司との面談で私が仕事でこうあるべきと思っていること、そしてそれができないことを伝えたときでした。決死の覚悟で私は伝えたのですが、上司からの返答は、私が思っているものと違いました。私が勝手に想像して復職はできないと怖がっていたのでした。それがきっかけで少しずつ復職に向けて動き出すことができました。

今、卒業が決まり、不安でいっぱいです。私の場合は、復職に向かうきっかけとなった上司との面談のように、周りの人とコミュニケーションをとり、関係性を作ることで安心して働けるということがわかりましたが、それが本当に復職したあとにできるのかという不安です。それでも、リワークで体験し、考えたことは、復職後になにかあったときに立ち止まれるきっかけになると考えています。焦らず、少しずつ進んでいこうと思っています。

こうして卒業が決まった今、改めて、支えてくださった方々への感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

前任の先生

復職のご報告ができないことは残念ですが、先生に教えていただいたこと、ご指摘していただいたことは、今の私の土台となっています。

神谷先生

復職することを怖がっていた私の話を丁寧に聞いてくださり、上司との面談で私の気持ちを伝える後押しをしてくださいました。そのおかげで復職してみようと思えることができ、一歩踏み出すことができました。

最後になりましたが、和田先生、ならびにスタッフの皆様、リワークメンバーの皆様、皆様との体験は私の中で大きな力となり、これから職場へ向かう上での大切な糧となっています。本当にありがとうございました。
慣らし勤務が始まり、復職がゴールではなくスタートであるということを実感している今、私にとってリワークでの時間は本当に大切なものになっています。
そして、なにより一番そばで見守ってくれていた妻にも、心から感謝を伝えたいと思います。

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O.S.さん(リワーク在籍期間:131日)

『私にとってのリワーク』

「生活習慣を整えるためにここにきました!」 リワーク初日の自己紹介で私はこう言いました。それがリワークに通うことになった理由だったからです。

私は休職してからずっと、ほとんど寝たきりのような毎日を過ごしていました。起きているのは、なんとなく自分の中でやろうと思えていた夕食作りをして夫と夕食を食べてから寝るまでの時間だけ。時間とともに気持ちも体調も順調に回復している実感がありましたが、和田先生からは「朝きちんと起きられて、日中になにか作業ができて、夜は眠れて疲れが残らない。そういう日々を送れないと復職は難しいね。」と言われました。
どうしても朝起きられないという課題が解決できないまま時間だけが過ぎ、このままでは復職できないという焦りから、ある種自分へ強制的に起きる練習をするためにリワークに通う決断をしました。

リワークへは最低でも3ヶ月間と聞いたので、休職期限も迫ってきて早く復職したかった私は「じゃあ最短で卒業しよう」という気持ちで通い始めました。結果として4ヶ月半での卒業となりましたが、やっぱり全く時間が足りなかったです。
リワークで学びたいこと、経験したいことはまだまだたくさんあります。もっと早くリワークに参加していたらよかったと何度過去の自分を悔やんだことか。当初はここまでリワークが自分にとって大きな存在になるとは思ってもいませんでした。

そしてリワークに通い始め、最初の頃は衝撃を受けてばかりの日々でした。
この人たちはなにを言っているんだろう?なんでそんなことを言うんだろう?そんなことばかり思っていて家では泣くこともあり、体調を崩してまでリワークに行っている意味はあるのかと悩むこともありました。
その中でも一番しんどかったのはグループディスカッションのプログラムです。ディスカッションの際に、『意見を言う人・言わない人』という議題になったのですが、私は意見を『言えなかった』ので、なんで言わないのかと苛立ちをおぼえているメンバーもいて、その圧力がすごく怖かったです。
そしてスタッフの方の「言わないということもアグレッシブ(攻撃的)です。」という言葉にも「“言わない”んじゃなくて“言えない”のになんでそんなことを言われないといけないんだろう…」と悲しさと恐怖と怒りの混じった感情が沸きました。ですがそれもリワークの中で日々を過ごし、他のメンバーのいろんな意見を聞くことで、そういった意見もあるんだなと少しずつ理解していけたように思います。
今思い出しても身体が震えるくらいの思い出ですが、その時に思い切って自分の意見を発言できたことが、今でも自分の力になっています。話しながら泣いてしまいましたが、今思い返せばあれは自分が少し変われた出来事だったのかなと思います。泣いてしまってもそのあとに「大丈夫、大丈夫!」「頑張ったね。」と伝えてくれるメンバーの方が居てくれることもいつも本当に支えになっていました。
リワークに通っているメンバーの方たちは本当に考え方が様々で、ありきたりな言葉になりますが、自分が当たり前と思っていることも当たり前じゃないんだ、いろんな考えをもっていてもいいんだ、そう思わせてくれました。

生活習慣を整えるために通い始めたリワークでしたが、1ヶ月ほど経った頃から自分の中で解決しなければいけない課題はそれだけじゃないなと感じることが多くなりました。
それはやはりこのCRESSというリワークの中では自分のことを話す機会が多いからだと思います。その中で何度も休職した当時のことを話したり聞いたりしました。休職当時のことを思い出して話すのはすごくつらくて何より胸が苦しくなり、その後数日間体調が乱れることもありました。しんどくて見ないように蓋をしていたことですが、その時の自分を振り返って見つめてあげることは私にとって、とても大切な作業だったと今では思います。
休職当時はその生活が当たり前だと思っていたのが、『そりゃしんどかったよ、頑張っていたね。』と自分でも思えるようになったり、他のメンバーの方からも自分自身の弱さや課題を指摘してもらえて、今まで気づいていなかった自分をたくさん知ることができました。

そしてその課題たちは、今もまだ解決できていません。それどころか課題はリワークにくる度に今も増えていると実感します。そんな中復職して大丈夫?と普通なら思うと思いますが、今まで私はここまで自分のことを見つめて、考えて、大事にしてきたことはありませんでした。でも今はなにか困難が目の前におとずれても、自分のことを後回しにせずきちんと向き合って考えることができるようになってきたと思っています。リワークで学んでたくさん経験したからこれから自信を持って復職できる!社会に戻れる!とは全く思っていませんが、今までの自分に足りなかった部分を補える力が今の自分にはある、そんな自信はあります。

私は何か特別なことを目指してリワークに通っていたわけではありません。ただ毎日朝起きて、リワークで1日過ごして、帰って自分の用事や家事ができて夜眠れる。その当たり前ができるように毎日を繰り返していただけです。ただ目の前に、今に集中して取り組んだだけです。その積み重ねが自分を少し強くしてくれました。そして目標だった生活習慣もついでに整えることができました。

私は、自分がここまでリワークに対して思いを持ち、卒業するのが寂しいなんて思うと思っていませんでした。ただ通っていたらいいだろう、そんな考えは通用しないすごくしんどい場所でした。でも毎日1日中一緒に過ごし、どんな時でも自分のことのようにほかの人のことを考えて同じように悩み苦しんでくれるメンバーのみなさん、拠り所のない心のモヤモヤをいつも聞いて受け止めて支えてくれたスタッフのみなさん、そんな方たちだったから今を迎えられています。本当に感謝でいっぱいです。本当であれば一人ひとりにメッセージを伝えたいですが、それはできないので、卒業までの残りの時間をみなさんと大切に過ごしたいと思っています。

ひとまず、社会に戻って今の自分でどう頑張れるのかやってみます。頑張りすぎないように(笑)

短い期間ではありましたが、CRESSで出会えたみなさんは何にも代え難い特別な存在です。今まで本当にありがとうございました!

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